1997 Fiscal Year Annual Research Report
魚類単一筋繊維の張力測定を基礎にした"あらい"の現象の解明に関する研究
Project/Area Number |
08660250
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
中山 輝雄 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (00046343)
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Keywords | あらいの現象 / カルシウムイオン / 水 / 魚類筋肉 |
Research Abstract |
コイ筋肉を浸漬液に浸し、水とカルシウムイオンの浸透の影響を調べた。カルシウムイオンを含む浸漬液と含まない浸漬液を準備し、カルシウムイオンの浸透の条件を変えるため、浸漬液中の生理的塩溶液の体積分率を段階的に下げて実験を行った。外液からのカルシウムイオン浸透の影響は、安静即殺区では主に瞬間的な張力発生に表れた。外液からの水の浸透の影響は、安静即殺区では死後硬直時の張力の大きさを増大した。安静即殺区では硬直張力は緩慢に発生し最大値が8g程度で小さく、発生時間、張力値に関して浸漬液の違いによる変化は認められなかった。安静即殺区では、浸漬液がカルシウムイオンを含む場合、塩溶液の体積分率を減らし浸透圧を増すにつれ、瞬間的な張力および硬直時の張力が増大した。 コイ筋肉を浸漬液中でホモジナイズし、各種浸漬液に透析して筋繊維の構造変化を調べた。カルシウムイオンを含む純水中および塩溶液中でホモジナイズすると筋繊維の断片化が起こり、前者では筋繊維の膨潤も認められた。カルシウムイオンを含まない純水中でホモジナイズすると筋繊維は膨潤したが、束になっているものは膨潤しなかった。カルシウムイオンを含まない塩溶液中でホモジナイズし、カルシウムイオンを含まない純粋に透析すると膨潤は更に顕著になった。カルシウムイオンを含む純粋に投透析した筋繊維は、カルシウムイオンを含む塩溶液に透析したものより幾分太くなったが、共にカルシウムイオンを含まない純水に透析した場合のような顕著な膨潤は起こらなかった。 “あらい"は浸漬液中のカルシウムイオンが魚肉中に浸透し、魚肉中に残存しているATPと相互作用してミオシンフィラメントとアクチンフィラメントの滑り込みによる強縮を起こし魚肉が収縮する現象である。浸漬液中の水はカルシウムイオンの浸透を促す役割を担うことの他に、水自体の浸透によっても張力を発生していることが判明し、カルシウムイオンと水の浸透の影響を定量的に分けて"あらい"におけるそれぞれの影響の程度を議論することができた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Teruo Nakayama et al.: "Delayed Example in Rigor Mortis of Spinal cord Destroyed Plaice Detected by Measurements of Isotonic Contraction and Isometric Tension" Fisheries Science. 63・5. 830-834 (1997)
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[Publications] Teruo Nakayama,Eiichiro Goto, and Atsushi Ooi: "Microstructure and Physical Properties of Red Sea-Bream Muscles Stored as a Fillet and asa Round" Fisheries Science. 63・6. 950-957 (1997)