1998 Fiscal Year Annual Research Report
魚類単一筋線維の張力測定を基礎にした“あらい"の現象の解明に関する研究
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08660250
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
中山 照雄 三重大学, 生物資源学部, 教授 (00046343)
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Keywords | あらいの現象 / カルシウムイオン / 水 / 魚類筋肉 |
Research Abstract |
ストレス区のコイ筋肉を浸漬液に浸し、水とカルシウムイオンの浸透の影響を調べた。第2ピーク張力は、対照の安静即殺区の筋肉では、浸漬液中の生理的塩溶液の体積分率を段階的に下げるにつれて増大したが、硬直張力の大きさは、カルシウムイオンを含む種々の体積分率の浸漬液に浸した筋肉ではほぼ一定で、カルシウムイオンを含まない種々の体積分率の浸漬液に浸した筋肉の硬直張力とほぼ同じ値であった。ストレス区の筋肉では、10mM塩化カルシウムを含む浸漬液中の生理的塩溶液の体積分率を段階的に下げても第2ピーク張力の大きさについての明らかな傾向は認められなかったが、硬直張力の大きさは、生理的塩溶液の体積分率を段階的に下げるにつれて減少し、10mM塩化カルシウム水溶液に浸した筋肉の硬直張力の大きさは、カルシウムイオンを含まない種々の体積分率の浸漬液に浸した筋肉の硬直張力とほぼ同じ値になった。ストレス区の魚肉では筋肉内部の筋内膜の構造が脆弱化していたので、カルシウムイオンは筋肉内部へ浸透できた。その結果、死後硬直による張力発生と外因性のカルシウムイオンによる張力発生は重なった現象として検出された。浸透圧を増加させると、筋肉表層は外因性のカルシウムイオンの浸透量の増加によって強く収縮し、大きな第1ピーク張力を発生したので、外因性のカルシウムイオンは筋肉内部へ浸透できなくなった。その結果、死後硬直による張力発生と外因性のカルシウムイオンによる張力発生が区別できるようになった。
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Research Products
(1 results)