1996 Fiscal Year Annual Research Report
魚類単一筋線維の張力測定を基礎にした“あらい"の現象の解明に関する研究
Project/Area Number |
08660250
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
中山 照雄 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (00046343)
|
Keywords | あらいの現象 / カルシウムイオン / 水 / 魚類筋肉 |
Research Abstract |
コイのグリセリン筋単一筋繊維を作製し、弛緩液中から硬直液中に移すと23mg程度の張力が発生し、収縮液(ATP 5mM)中に移すと50mg程度の張力が発生した。収縮液(ATP 0.3mM)のCa^<2+>濃度を10^<-7>Mから10^<-6>Mに増加すると発生張力が13mgから20mgに増大した。あらいという調理法の原理を解明するため、安静即殺した時と即殺直前にストレスを与えた時のコイ筋肉を波中に浸漬して、等尺性張力の経時変化を調べた。生理的塩溶液に浸漬した場合、ストレスを与えたコイの方が安静即殺より張力ピークの出現が35時間早く,ATPも35時間早く消失した。Caの浸透の影響を調べるため生理的塩溶液にCaを加えると、程度は弱いがCaが浸透し、安静即殺では6分後に15g、ストレスでは4分後に7gの張力ピークが出現した。純水の浸透の影響を綱べるため蒸留水に浸漬すると、水の浸透により安静即殺では2時間後に6g、ストレスでは30分後に4gの張力shoulderが出現した。水とCaの浸透の影響を鋼べるため蒸留水にCaを加えると、水の浸透に影響されてCaの急激な浸透により安静即殺では25分後に58g、ストレスでは15分後に42gの張力ピークが出現した。蒸留水にCaを加えてCaと水を浸透させるた場合は、生理的塩溶液にCaを加えてCaのみを浸透させた場合より、張力ピークの大きさが安静即殺では4倍、ストレスでは6倍に増大した。ストレスはATPの減少が既に進んでいるため,Caのみの浸透による張力ピークの大きさは安静即殺の50%、Caと水の浸透による張力ピークの大きさは安静即殺の75%であった。 あらいは浸漬液中のCaが魚肉中に浸透し、魚肉中に残存しているATPと相互件用してミオシンフィラメントとアクチンフィラメントの滑り込みによる強縮を起こし魚肉が収縮する現象であることが判明した。詳細は現在実験中である。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Teruo Nakayama,Takuya Toyoda,and Atsushi Ooi: "Delay in Rigor Mortis of Red Sea-bream by Spinal Cord Destruction" Fisheries Science. 62・3. 478-482 (1996)
-
[Publications] Teruo Nakayama,Eiichiro Goto,and Atsushi Ooi: "Observation of Characteristic Muscle Structure Related to Delay in Red Sea-Bream Rigor Mortis by Spinal Cord Destruction" Fisheries Science. 62・6. 977-984 (1996)