1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08660291
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河地 利彦 京都大学, 農学研究科, 教授 (50026564)
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Keywords | 河川環境 / 水質管理 / 最適制御 / 線形計画法 / 有限要素法 |
Research Abstract |
理論的な背景に依拠して河川における水質環境基準を達成するには,水質ダイナミックスを考慮に入れ,許容できる汚濁負荷量の総量と流路に沿った汚濁量の適性配分が推定可能な最適化モデルを構築することが基本的に重要なこととなる.本研究の最終目的はネットワーク状に複雑に連結した河川網における水質制御問題を取り扱うことであるが,昨年度の研究では,このような任意の河川網を取り扱う際の基本となる単一河川流路について,線形計画法による定常の流れ場を考慮に入れた水質環境(生物化学的酸素要求量(BOD),溶存酸素(DO))の最適制御モデルの基本形を構築し,その有効性を検証した.本年度は,この基本形を拡張して,任意に分合流する河川網において,任意の数及び位置に汚濁負荷源がある場合の,最適制御モデルの構築を試み,モデル性状の精査とその適用性の検証を行った.すなわち,水質因子の移流輸送に寄与する水理環境を水質環境場に組み入れるための定常漸変流モデル,並びにBOD及びDOに関する移流・分散式モデルを一般形に拡張し,それらを連成させたものを河川網の水質ダイナミックスとした.そして,これらに環境基準等の制約条件を付加して,河川全体に対する汚濁負荷総量を最大にし,その最適配分をも推定できるような目的関数のもとで,線形計画の手法により許容汚濁負荷量の最適解が求まる制御最適化モデルを構築し,その基本性状を詳細に調べた,その結果、基本形から河川網を扱う一般形への拡張は比較的容易に行え,一般形によって,きわめて良好に複数の汚濁源からの汚濁物質負荷量の許容総量とその最適配分の推定が可能であることが明らかとなった.さらに,研究の展開を求め,河川流量等の不確実性を反映させることのできるロバスト最適化問題にも論及し,この最適化概念に立った河川水質の最適制御モデルについて基本的な考察を行った.
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