1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08670012
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Research Institution | YAMANASHI MEDICAL UNIVERSITY |
Principal Investigator |
熱海 佐保子 山梨医科大学, 医学部, 教授 (10110298)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川手 豊子 山梨医科大学, 医学部, 助手 (10252024)
坂本 宏史 山梨医科大学, 医学部, 助手 (10162314)
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Keywords | 脊髄 / 一次求心性線維 / シナプス糸球体 / 痛覚 / エンケファリン / GABA / グリシン / 免疫細胞化学 |
Research Abstract |
我々は痛みの情報が一次求心性AδおよびC線維により脊髄後角I,II層に伝えられた後、どのような調節を受けて上行路の起始細胞に伝達されるかを形態学的に明らかにするためにニワトリ後角において研究を進めている。今年度は以下の点が明らかになった。 1.抑制性介在ニューロンの回路と作用点について。1)エンケファリン(ENK)含有介在ニューロンのサブスタンスP(SP)含有一次求心性線維に対する後角内回路網における配置を知るために二重蛍光標識後共焦点レーザー顕微鏡により観察し、I層で頭尾方向に走るENK線維の一部はSPを共存することを示した。シナプス糸球体内のENK含有樹状突起は共存を示さず、このことは後角ENKニューロンに二種類あることを示す。電顕的にも、SPとENKを共存する軸索終末が1層の大型ニューロン上にaxodendritic synapseを形成することを示した。2〉シナプス糸球体の構造を凍結割断法により観察した。中心終末のP面には前シナプス膜P面に特徴的な構造と後シナプス膜に特徴的な膜内粒子の集合部が接して存在する部位があった。これは両方向性シナプスを示唆する膜内粒子の配列の初めての観察像である。3)シナプス糸球体内の神経要素の一部で、GABAとグリシンが共存していることが、電顕的に免疫細胞化学の二重標識法により示された。 2.一次求心性線維から脳幹への伝導路について。1)AδおよびC線維の後角I,II層における終止の詳細を調べるために、脊髄神経節にHRPを注入した。標識の見られた無髄の軸索と細い有髄の軸索およびブトンの数例を光顕で撮影後再び包埋して電顕で観察すると、シナプス糸球体の中心終末となっていた。またその中の一例に包埋後標識法によりSPの標識を示す例が得られた。2)脳定位固定装置を使用する準備実験として、脳幹部の定位置での連続切片を作製し、数種の染色を行ない、核の構成を解析中である。
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