1997 Fiscal Year Annual Research Report
器官形成過程におけるラミニンアイソフォームの発現とそれらの機能に関する研究
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08670033
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Research Institution | KITASATO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
門谷 裕一 北里大学, 医学部, 助手 (10185887)
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Keywords | ラミニン / ラミニンα1鎖 / 形態形成 / ラミニンα2鎖 / 合成ペプチド / 顎下腺 / 発生 / 基底膜 |
Research Abstract |
平成8年度の研究成果に基き、ラミニンα1鎖Gドメインの2719から2730番目のアミノ酸配列に由来するペプチド(RKRLQVQLSIRT,以下AG-73)により器官培養条件下での胎生13日マウス顎下腺原基の分枝形態形成阻害のメカニズムの検討を行なった。AG-73ペプチドで処理された外植体では基底膜構造形成が阻害されていることが判明している。この時、ラミニン結合性のα6インテグリンや上皮細胞間の細胞接着に関わるEカドヘリンについて免疫組織化学的に検討したところ、基底膜形成不全にも関わらず両者が細胞のタイプ特異的な発現様式を示していることが判明し、AG-73部位が基底膜構造形成に直接関わるという8年度の結論を支持した。一方、異なったアイソフォーム、ラミニンα2鎖上でAG-73相同部位由来のペプチド、MG-73(KNRLTIELEVRT)はAG-73同様細胞-基質間の接着や、基質上での細胞の伸転を促進する活性を示すものの器官培養下の顎下腺では何の影響も認められなかった。この理由を明かにする目的で、発生期顎下腺でのラミニンα2鎖の発現を調査した。ラミニンα2鎖特異的単クローン性抗体を用い、様々な発生段階のマウス顎下腺原基を免疫組織化学で調査したところ、α2鎖の発現は器官培養に用いた胎生13日目では全ての上皮基底膜で陰性であった。α2鎖は発生の進行につれて、腺房部基底膜では強陽性となるものの導管部基底膜では陰性のままであった。従来の解析から胎生13日目の上皮基底膜にはラミニンα1鎖がステージ特異的に発現することが判っているので、これらの事実から顎下腺上皮はネイティブなラミニンアイソフォームであるラミニンα1鎖を特異的に認識し、それ由来のペプチドにのみ影響を受けたと考えられた。
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[Publications] Yuichi Kadoya: "Substructores of the Acinar Basement Membrane of Rat Submardibular Gland as Shown by Alcian Blue Staining and Cryo-fixation Fdlowed by Freeze-substitution" Journal of Electron Microscopy. 46・5. 405-412 (1997)
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[Publications] Edward W.Gresik: "Expression of Epidermal Growth Factor Receptor in Fetal Mouse Subinandibular Gland Detected by a Biotinyltyramide-based Catalyzed Signal Amplification Method" The Journal of Histochemistry and Cytochemistry. 45・12. 1651-1657 (1997)