1997 Fiscal Year Annual Research Report
心筋の筋長依存性Ca感受性変化を調節しているトロポニンサブユニットの同定
Project/Area Number |
08670063
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
栗原 敏 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (90057026)
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Keywords | 心筋 / 筋長 / トロポニンC / Ca感受性 / Caイオン / トロポニンI / アシドーシス / イソプロテレノール |
Research Abstract |
心筋の発生張力は筋の初期長により著しく影響されることが知られててる。そのメカニズムの一つとしてクロスブリッジがアクチンに結合すると、それがCaイオンに対するトロポニンCの親和性をまして、より収縮が増強するというメカニズムが働いていることが指摘されている。しかし、クロスブリッジからTn-Cにどのようなメカニズムで情報が伝達されるのかは未解決である。我々は、生理的条件下で直接、収縮を抑制しているTn-lに注目して、Tn-lが燐酸化により修飾された時のpCa-張力関係を異なる筋長で測定して、異なる筋長によるpCa-張力関係の変化にTn-lが関与しているか否かを検討した。ラットを麻酔してからβ受容体遮断薬とアセチルコリンを含むタイロード氏液で血液を洗い、右室から肉柱を摘出した後トリトンで処理してスキンド標本を作製、50%グリセリン溶液中に浸漬して冷蔵保存してから実験に供した。燐酸化は弛緩液にブタ心臓から抽出したAキナーゼを入れて25℃で30分間浸漬し、その後、液を交換して更に30分間処理した。燐酸化前のpCa_<50>は、筋節長が2.3μmで5.87、1.9μmで5.72であった。燐酸化後のpCa_<50>は筋節長が2.3μmで5.717、1.9μmで5.62であった。筋長変化によるpCa_<50>の変化分(△pCa_<50>)は燐酸化前が0.148、燐酸化後は0.1であった。また、燐酸化抑制剤存在下では、△pCa_<50>は0.1であった。これらの結果は、AキナーゼによるTn-lまたはC-蛋白の燐酸化は筋長変化による生じる発生張力の変化を減弱させることを示唆している。即ち、これらの蛋白はクロスブリッジからトロポニンCへの情報伝達の一部を担っているものと考えられる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Kurihara,S.: "Length dependence of Ca^<2+>-tension relationship in aequorin-injected ferret papillary muscles" American Journal of Physiology. 273. H1068-H1074 (1997)
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[Publications] Kurihara,S.: "Effects of acidosis on Ca^<2+> sensitivity of contractile elements in intact ferret myocardium" American Journal of Physiology. 274. (1998)
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[Publications] 栗原 敏: "カルシウム感受性" 呼吸と循環. (1998)
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[Publications] 栗原 敏: "心筋細胞内カルシウム動態と強心薬" Clinical Calcium. 7(11). 12-17 (1997)
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[Publications] 栗原 敏: "ストレプトゾトシン誘発性糖尿病ラット心筋における細胞内Ca動態と収縮特性"
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[Publications] Kurihara,S.: "Current Methods in Muscle Physiology" Oxford University Press,Oxford, (1997)