1996 Fiscal Year Annual Research Report
横紋筋肉腫の発生、分化に関与する遺伝子異常の解析と組織診断への応用
Project/Area Number |
08670223
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
野島 孝之 金沢医科大学, 医学部, 教授 (50142732)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長嶋 和郎 北海道大学, 医学部, 教授 (50010377)
竹上 勉 金沢医科大学, 総合医学研究所, 助教授 (10113490)
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Keywords | 横紋筋肉腫 / PAX3 / PAX7 / FKHR / 変異遺伝子 / MyoD1 / :myogenin |
Research Abstract |
横紋筋肉腫は若年層に多く、予後不良な肉腫である。胞巣型では80%に2番と13番染色体の相互転座t(2;13)が認められる。t(2;13)の変形としてt(1;13)が胞巣型に報告されるが、胎児型や多形型では特異的な染色体異常は見い出されていない。この転座部では2番のPAX3と13番のFKHRが癒合し変異遺伝子を形成している。同様にt(1;13)ではPAX3の代わりにPAX7がFKHRと癒合する。胎児型では11番染色体短腕領域の欠失が見られるが、この欠失は胞巣型では見られず胎児型に特徴的である。我々は細胞株と新鮮手術材料を用い以下の検討を行った。 1)変異遺伝子発現の検討 RT-PCR法でPAX3-FKHDとPAX7-FKHD変異遺伝子の有無を検討し、また、CGH法で染色体全体にわたる染色体の欠失、過剰、遺伝子増幅の有無を解析した。その結果、10症例の胞巣型すべてにPAX3-FKHDあるいはPAX7-FKHDが存在していたが、胎児型では認めなかった。CGH法では両亜型共に染色体2、12、13番に高頻度の変化を認めた。 2)筋分化制御遺伝子発現の検討 10症例の横紋筋肉腫を用いて、筋分化制御遺伝子であるMyoD1とmyogeninの発現をRT-PCR法により比較した。その結果、10例中6例にMyoD1の発現を、また8例にmyogeninの発現を見たが、対照とした正常リンパ球、ラブドイド腫瘍、骨肉腫、滑膜肉腫では発現を見なかった。組織亜型ではMyoD1は胎児型3例中3例と胞巣型6例中1例が陰性で、myogeninは胎児型2例が陰性であった。多形型1例は両遺伝子とも発現を認めた。 上記の結果より横紋筋肉腫の組織診断にPAX3-FKHD、PAX7-FKHD、MyoD1、myogeninの発現検索が有用であると思われた。また、組織亜型の相違に遺伝子発現の時期や発現量の関与が示唆された。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] S.Weber-Hall,et al.: "Novel formation and amplification of the PAX7-FKHR fusion gene in a case of alveolar rhabdomyosarcoma" Genes Chromosom. Cancer. 17. 7-13 (1996)
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[Publications] S.Weber-Hall,et al.: "Gains,losses,and amplification of genomic material in rhabdomyosarcon analyzed by comparative genomic hybridization" Cancer Research. 56. 3220-3224 (1996)
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[Publications] 野島孝之: "軟部腫瘍と染色体異常" 検査と技術. 24. 476-478 (1996)