1997 Fiscal Year Annual Research Report
寝たきり度モニタリングシステムの開発と研究-介護福祉総合研究と新介護システムに向けて-
Project/Area Number |
08670467
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima Prefectual College of Health and Welfare |
Principal Investigator |
住居 広士 広島県立保健福祉短期大学, 理学療法学科, 助教授 (30249528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高山 忠雄 岡山県立大学, 保健福祉学部, 教授 (20254568)
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Keywords | 介護 / 寝たきり / 介護保険 / 要介護度 / ケアマネジメント / ケアプラン / 要介護者 / 介護度 |
Research Abstract |
【緒言】我が国の急速な超高齢化による要介護高齢者の急増に対して、平成8年4月に「高齢者介護保険の創設について(老人保健福祉審議会)」で介護保険制度が提唱されている。介護保険関連三法案が平成8年11月に国会に提出され、平成9年12月9日に国会で修正の上可決され、2000年4月より実施される。要介護度は、介護保険制度の基本的評価基準として策定されている。しかし、要介護度は、障害モデルによる自立度を主体に設定されており、要介護度のアセスメント標だけでは単に心身の障害度のみが明らかになる。要介護度だけでなく、それらを総合的に示す介護モデルの構築による評価基準としての介護度の開発と研究を展開した。 【対象と方法】介護度は、要介護者への直接処遇における介護支援業務における関わり度・困難度・必要度をそれぞれ調査し、それらを統合化することにより数量化し統計解析した。その調査対象として、1995年12月から西日本地区の保健福祉機関へ配票調査を行い、有効回収数1320部を得た。介護に主体的に関わった保健福祉職種別の要介護者として、総要介護者事例1208名から介護度を比較分析した。介護支援業務の調査内容は、総計80項目を設定した。その介護支援業務を更に6種類(生命18業務、生活18業務、情報17業務、医療15業務、末期4業務、在宅8業務)の主業務にまとめた。要介護者に対するそれぞれの介護支援業務の程度を、関わり度・困難度・必要度による6段階評価の回答によった。その介護度を保健福祉職種別の介護専門性を比較検討した。 【結果】介護業務における関わり度と困難度と必要度の相関関係との相互作用を検討した。関わり度と必要度は相関係数0.77(偏相関0.4)と相関係数は高く、偏相関係数は中等度であった。困難度は関わり度とは0.57(-0.27)、必要度とは0.67(-0.02)と相関係数は中等度であるが、その偏相関係数は非常に低かった。今回は、その結果から勘案して、介護度=困難度X(関わり度+必要度)/2と定義した。その介護度では、関わり度・困難度・必要度との関係は、困難度では相関係数と偏相関係数はともに非常に高値であった。しかし関わり度・必要度とは、相関係数はともに中等度認めるが、偏相関係数は低値となった。介護度自体は、困難度と相関と偏相関が非常に高値となり、より困難度に類似した傾向を認めるとともに、(関わり度+必要度)=αという一定の傾向が存在することが示唆された。内的整合性(Cronbach α)については、6項目で0.87、25項目で0.82であった。 【考察】要介護者は、要介護度だけで判定するのではなく、本来は介護を受けている対象者がどのように介護により支援されているかを示す介護モデルの指標である介護度で評価し判定すべきである。まずその介護度と要介護度との差違により、新たに社会的に支援すべき介護支援量が設定できるのである。要介護者に個別対応できる介護支援の指標である介護度の創設が必須である。 我々の報告から、介護度は、介護度=関わり度X困難度にて、妥当性をもって設定できた。今回さらに構成要因として、関わり度に関連すると思われる介護業務の必要性を示す必要度を新たに加えて設定した。まず介護業務における関わり度と困難度と必要度の相関関係との相互作用を検討すると、関わり度と必要度は相関係数は高く、偏相関係数は中等度であった。困難度は関わり度、必要度とは相関係数は中等度であるが、その偏相関係数は非常に低かった。その結果から勘案して、介護度=困難度X(関わり度+必要度)/2と定義した。今後とも介護モデルを提示できる介護度の創設のためその構成要因のさらなる検討を進めていきたい。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 住居 広士、石田 一紀: "介護保険制度における要介護認定基準と介護サービスの標準化" 介護福祉学. 4. 16-29 (1997)
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[Publications] H.Sumii,T.Anme,et al.: "The Kaigo index for involvement in and difficulty with total care geven to the elderly and disabled." the proceedings of SYSTED 97. 321-325 (1997)
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[Publications] 住居広士、江原勝平: "「尊厳のある人生」からみた介護保険法とは" 福祉のひろば. 73号. 118-123 (1998)
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[Publications] 住居広士、村上: "高齢者特有の訴えとその把握" 高齢者けあ. 2. 44-48 (1997)
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[Publications] 住居広士 難波康男: "終末期の病態とターミナルケア" 高齢者けあ. 3. 48-52 (1997)
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[Publications] 住居広士、小森由美子: "訴えからみた高齢者特有の病気" 高齢者けあ. 4. 46-50 (1997)
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[Publications] 住居広士: "介護モデルの理論と実践" 大学教育出版, 208 (1998)
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[Publications] 住居広士、山岡喜美子、村上、安藤由子: "介護福祉研究入門" 大学教育出版, 160 (1997)