1997 Fiscal Year Annual Research Report
麻薬・覚醒剤中毒の脳内代謝に関与する酵素系についての酵素学的・免疫組織学的研究
Project/Area Number |
08670485
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山崎 元彦 大阪大学, 医学部, 助手 (30230410)
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Keywords | FAD / キノオキシゲナーゼ / 薬物代謝酵素系 / メタンフェタミン / シトクロムP-450 / 中毒 |
Research Abstract |
法医学領域において、麻薬・覚醒剤中毒の発現機序は、代謝経路を含め解明すべき多くのことが残っている重要なテーマである。従来、麻薬・覚醒剤の代謝産物についての検出同定については多くの研究がなされてきたが、特に脳での麻薬・覚醒剤代謝に関与する薬物代謝の酵素系については未だ充分には解明されていない。そこで、麻薬・覚醒剤の代謝に関与するといわれる酵素系について検討し、特に、メタンフェタミン、コカインのN位の水酸化を触媒するとされるFAD含有モノオキシゲナーゼに注目した。 本年度は人屍脳7例での皮質、髄質、視床、橋、延髄等、各部位ごとにミクロゾーム分画を調製し各部位ごとのFAD含有モノオキシゲナーゼ活性を測定し、酵素活性の分布領域について検討した。活性は基質にメチマゾールとチオベンザマイドを用い、NADPHの340nmでの吸光度の変化を測定することによって測定した。その結果、メチマゾールを基質に用いたFAD含有モノオキシゲナーゼ活性は皮質での活性が高値を示し、髄質、橋、延髄での活性は極めて低値を示した。一方チオベンザマイドを基質に用いた場合には髄質や延髄での活性が高値を示し、皮質での活性が低値を示した。また、全般的にチオベンザマイドを基質に用いたFAD含有モノオキシゲナーゼ活性が、メチマゾールを基質に用いた場合より酵素活性は高かった。このことから、FAD含有モノオキシゲナーゼ活性の脳内での局在性と基質特異性が示唆された。現在論文作成中であり、今後さらに、症例を増やして検討していく予定である。
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