1996 Fiscal Year Annual Research Report
血中薬物濃度からの中毒レベルの意義付と毒性発現に関与する遺伝子からの意義付け
Project/Area Number |
08670487
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
池淵 淳 鳥取大学, 医学部, 助手 (30150361)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入澤 淑人 鳥取大学, 医学部, 教授 (90112226)
湯浅 勲 鳥取大学, 医学部, 講師 (00093633)
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Keywords | 薬物代謝酵素 / チトクロームP-450遺伝子 / N-アセチル転移酵素遺伝子 / 遺伝的多型性 / 個体差 / 人種差 / 表現型 / 遺伝子型 |
Research Abstract |
チトクロームP-450およびアセチルトランスフェラーゼは、薬物の代謝に中心的な働きをする酵素であり、特に中毒学領域で重要視されている。本研究では、これらの塩基配列を解析し、その変異がもたらす薬物代謝に起因する毒性や薬効などの発現について、検討をおこなった。 ヒト末梢血白血球部分をプロテナーゼK/SDS処理し、フェノール/クロロホルム抽出した後、エタノール沈殿によってDNAを回収し、PCR法によって塩基配列を解析した。すなわち、NAT2遺伝子の多型検索において、5'-TGACGGCAGGAATTACATTGTCおよび5'-ACACAAGGGTTTATTTTGTTCCをプライマーとして、PCR法により増幅を行った。PCR産物をTEに溶解させ、これを3分割し、それぞれに10単位のBamHI、TaqIおよびKpnIを加え制限酵素処理を行ったのち、10%ポリアクリルアミドゲル電気泳動を行い、銀染色によってバンドを検出した。その結果、NAT2遺伝子の対立遺伝子間に存在する一塩基置換が制限酵素による認識を不可能にしている部位の存在を利用して、NAT2の遺伝子型の判定が可能であった。すなわち、一塩基置換部位を含む領域をPCR増幅し、PCR産物がBamHI、TaqIおよびKpnIにより切断されない場合がそれぞれallele2、3および4であり、3種の制限酵素により切断されるものがallele1であった。今後の研究の展開として、NATの活性を調べるためにカフェインをプローブとして用い、カフェインの代謝物のうち5-アセチルアミノ-6-ホルミルアミノ-3-メチルウラシル(AFMU)と1-メチルキサンチン(1X)とのモル比を測定する計画である。さらに、カフェインテストによる表現型の判定法とPCR-RFLPによる遺伝子型の判定法との相関を調べ、薬物濃度の測定に加えて、代謝能の遺伝子診断をおこなうことの法医および臨床診断学的な意義を検討する予定である。
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