1997 Fiscal Year Annual Research Report
内視鏡的生検材料を用いたヒト大腸粘膜電解質輸送の検討
Project/Area Number |
08670581
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
塚田 英昭 京都大学, 医学研究科, 助手 (30207336)
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Keywords | ロイコトリエン / 炎症性腸疾患 / 受容体拮抗剤 / ユッシング / 電解質輸送 / 内視鏡 |
Research Abstract |
ロイコトリエンはヒト炎症生腸疾患において重要な役割を担っていると考えられている. 従来からペプチドロイコトリエンの大腸粘膜電解質輸送および大腸平滑筋収縮におよぼす影響が報告され,ロイコトリエンが腸粘膜における電解質,水分の喪失や腸管運動亢進の原因となって下痢を惹起することが想定されている.今回の研究ではラットを用いた動物実験のみならず,ヒト大腸粘膜に対するペプチドロイコトリエンの生理作用を検討した.さらにペプチドロイコトリエン受溶体拮抗剤であるONO-1078の作用を評価し,将来の臨床応用への可能性を検討した.ユッシング法とマグヌス法を用いてペプチドロイコトリエンのラット大腸電解質輸送および平滑筋収縮に対する作用と,これに対するONO-1078の抑制効果を検討した.また今回の主題である内視鏡的生検材料を用いた検討では京都大学医学部付属病院光学医療診療部において大腸内視鏡検査時に採取されたヒト生検大腸粘膜を電解質輸送の検討に用いた. ヒトおよびラットの大腸粘膜電解質輸送および大腸平滑筋運動は生体内とほぼ同濃度 (1nM-100nM)のペプチドロイコトリエンにより促進された.短絡電流量(Isc)は二相性を示した.急峻で一過性の低下相に続く上昇相を示し,これらはおもにNa^+の吸収抑制とC1の分泌亢進によるものと考えられた. これらの炎症性腸疾患にともなう下痢症状に関連すると考えられるペプチドロイコトリエンの作用はONO-1078により容量依存性に抑制されたことより, ONO-1078は中等症までのヒト炎症性腸疾患における下痢症状を軽減する目的で,今後の臨床応用が期待された.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Targuchi,T. et al: "Effects of thlonboxane An receptor antagonist in an animal model of inflammatory howel disease" Digestion. 58. 476-478 (1997)
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[Publications] Tominaga,M. et al: "ONO-1078 Antagonizes Diarrhea-Causing Changs in ion ion transport and smooth muscle contraction in liced by pep tideleukotriene" J Parmacol.Exp.ther. 278(3). 1058-68 (1996)