1996 Fiscal Year Annual Research Report
慢性飲酒によるmitochondria DNAの変異の検討
Project/Area Number |
08670633
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
上嶋 康洋 金沢医科大学, 医学部, 助手 (20184921)
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Keywords | アルコール性肝障害 / mitochondria / mitochondria DNA / ATPase / deletion |
Research Abstract |
大酒家では、肝および筋肉のmitochondria(Mt)が腫大し、そのcristaにも異常をきたすことが電顕的に観察されており、慢性飲酒による各種の臓器傷害の発生にMt傷害の関与していることが示唆されてきている。一方近年、Mtの酸化的リン酸化の傷害がMt DNAのdeletionと強く関連していることが報告されてきている。そこで、アルコールによる臓器障害とMtDNAの変異との関係を検討することとした。平成8年度では、Mt DNAの塩基配列の中から、ATPase(8/6)をcodeする領域を選び、deletionの有無を検討した。ATPase(8/6)のdeletionの検索は、末梢血からDNAを抽出し、forward primerとして5'-AACCAACACCTCTTTACAGTGA(8436-8367)を、reverse primerとして5'-TTGGTGGGTCATTATGTGTTGT(9200-9221)を用いてPCRを行い、そのPCR産物をnative polyacrlamide gelで分画後、エチジウムブロマイドで染色した。この方法により、491bpのdeletionが検出されることを確認し得たので、大酒家20名と健常者20名を対象に分析を行った。Mt DNAのATPase領域におけるdeletionは大酒家では58%に認められたが、健常者では1例も認められず、飲酒がMt DNAのATPase領域のdeletionに強く関与していることが示唆された。平成9年度では、肝組織での出現状況を検索し、血液での成績との相関を検索するとともに、ATPaseのdeletionがアルコール性肝障害の発生に関与している可能性について検討する。
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