1996 Fiscal Year Annual Research Report
大脳磁気刺激法による錐体下行路の興奮性と疲労現象に関する研究
Project/Area Number |
08670692
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
鯨井 隆 山形大学, 医学部, 助手 (40214952)
|
Keywords | cortical fatigue / magnetic stimulation / nand task / cortical modulation |
Research Abstract |
以下の4点の結果を得た。(1)随意収縮のTASK中の大脳磁気誘発反応(MEP)の変化:当該筋を第1背側骨間筋(FDI)とし背景筋電図のモニター下で随意収縮を加え、第2指の外転屈曲FXAと握り動作GPの2種のTASKを用いた。FXAでは時間経過とともに漸時MEPの振幅低下を生じるが、GPでは6-7分の収縮時間では変化がなく、その後急に振幅低下をきたし、引き続きこれを代償する形でMEPの増大に変化した。しかし、H波は6-7分の期間ではFXAもGPも殆ど変化なく、この期間でのFXAのMEPの振幅低下は大脳運動野の疲労現象と考えられた。FXAはGPと比べ疲労現象をより受けやすいのは、手の固有手筋に関わる運動野のCommandの量の相違によるものと推察された。(2)近位筋と遠位筋での違い:同一神経支配の腕橈骨筋BRと上腕2頭筋BBを当該筋とした。TASKは肘部を支点とし前腕に1kgの重りを当て、これに抗して前腕屈曲保持を数分行った。MEPの振幅が小さい(0.5mV)のため、他筋との疲労現象を等価的に評価はできないが、BRのほうがBBより前述のFXAと同様、時間依存性にMEPの減少が生じた。しかし下肢筋においてはD波の出現が著しく、運動野の疲労現象の評価は適さないと思われた。(3)皮膚神経刺激が中枢性疲労に及ぼす影響:第2指の感覚閾値の3倍の強度で皮膚神経刺激(C)を与え、FXAとGPのTASK中のMEPに及ぼす影響を見た。FXAでは中枢性疲労にも関わらず、Cにより疲労現象発現が遅くなりCが無い時と比較して疲労しにくい現象が得られた。これはCが大脳運動野の興奮性に対し維持調節の作用を持つためと推察された。(4)皮膚神経刺激の大脳運動野の興奮性に対するPSTHでの検討:FDIの運動単位記録によりPSTH-peristimulus time histogramを作成した。。Cにより有意(p<0.05)にI-waveが増大し、Cは大脳感覚野に到達し運動野の興奮性調節に関与しているものと考えられた。
|