1997 Fiscal Year Annual Research Report
大脳磁気刺激法による錐体下行路の興奮性と疲労現象に関する研究
Project/Area Number |
08670692
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
鯨井 隆 山形大学, 医学部, 助手 (40214952)
|
Keywords | パーキンソン病 / 中枢性疲労 / 大脳磁気刺激 / 2重刺激法 / サイレント ピアリド / 髄衰筋収縮 |
Research Abstract |
パーキンソン病患者10人に対し、L-DOPA製剤並びにその協動薬を服薬中または12時間以上休薬の異なる2日間にわたり検討した。健常者にて運動野の興奮性の変化を検討した結果(平成8年度結果報告)から、疲労現象の検討に第一背側骨間筋と前腕屈筋を選択した。健常者並びにパーキンソン病患者の磁気刺激に対する運動閾値には統計的に差を認めなかった。2重刺激法(条件刺激+試験刺激)により錐体下行路の興奮性を検討した。条件刺激(C)は安静時運動閾値の1.5倍とし、試験刺激反応(T)は安静時で運動誘発反応(MEP)が約1.0mVの振幅として得られる磁気刺激強度とし、各10回、計20回をランダムに刺激した。条件刺激により、随意収縮中に約150msにも及ぶsilent period(SP)が得られた。このSP中を狙い、CT間隔(CTI)は25,50,75,100,125,150msと変化させ、安静時並びに随意筋収縮の2状態ついて検討した。また脊髄の興奮性変化に対して、試験反応をH波に置き換えて同様に検討した。皮質脊髄路の興奮性の評価として安静時に得られるH波またはMEPとして条件刺激が加わった時の各波形の振幅比を検討した。時間を追ってこの比率の変化を疲労現象ととらえ検討した。安静時では健常者やパーキンソン病患者(PD群)ともH波に殆ど変化は生ぜず時間間隔とともにMEPの波形の軽度の現象は認めるものの有意でなかった。しかしMEPはCTIが50ms以降で著しく抑制された。一方、随意収縮時はH波が約70%の大きさに減少したが、SP中のMEPは正常群でCT=25〜125msの平均割合は195%と興奮性の増大を認めた。しかし、PD群ではMEPが平均85%と低下し正常群と比し有意差(p<0.01)を認めた。また時間の経過とともに抑制の増大を認めたがL-DOPAの服薬の有無に関わらずこの傾向が認められ中枢性疲労が著しいと考えられた。
|
Research Products
(1 results)