1996 Fiscal Year Annual Research Report
犬心筋のキニン・テンシン系酵素のクローニング・発現およびキニン分解酵素の検討
Project/Area Number |
08670838
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
笹栗 学 福岡大学, 医学部, 講師 (00178675)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 慶太 福岡大学, 医学部, 助手 (70289536)
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Keywords | カリクレイン / キニン / アンジオテンシン / キニン・テンシン系酵素 |
Research Abstract |
我々は試験管内で降圧系酵素と考えられてきた組織カリクレインがキニン産生のみならずアンジオテンシン(Ang)IをAngIIに変換するという事実を明らかにし、キニン・テンシン系と命名した。最近、明らかにされたACE阻害薬の心臓保護作用の機序のひとつとして本薬のキニンの分解阻害作用による局所産生キニンのレベル上昇が挙げられるが、心臓におけるキニン産生系に関しては、今までにその酵素学的な同定はされてなかった。我々は犬心筋から組織カリクレイン様酵素の精製を行った。その結果、この酵素は分子量約6万5千の糖蛋白で,キニン産生のみならずAngIをAngIIに変換する活性を有することから、我々の提唱するキニン・テンシン系酵素の一員であることを確認した。精製した酵素を用いて家兎で抗血清を作成した。得られたカリクレイン様酵素に対する抗体は,酵素のキニン産生能を阻害し,Western blotにて電気泳動した犬心臓のホモジネートのサンプルで約6万5千の位置に単一のバンドとしてカリクレイン様酵素の存在を認めた。更に心臓内・他臓器の存在を検討するために、犬心臓の右心房,左心房,右心室,左心室,冠動脈,胸部大動脈,腎臓のホモジネートのサンプルをWestern blotにて解析した。その結果、同様に約6万5千の位置に単一のバンドを認めた。以上のことから精製したカリクレイン様酵素(65KDa)は分子量から判断して,既知の犬膵臓カリクレイン(38KDa)や犬尿カリクレイン(40.5KDa)とは明らかに異なる。さらに心臓のみならず、血管や腎臓にも存在することが明らかになった。病態生化学的な意義を明らかにするために、今後の研究ではこの酵素の部分アミノ酸配列の決定とクローニングを行いたい。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.Sasaguri,et al: "Characterization of a kinin-tensin enzyme in the dog heart" Hypertens Res (abstract). 18. 334 (1995)
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[Publications] M.Sasaguri,et al: "Purification and characterization of a kinin-and angiotensin II-forming enzyme in the dog heart." J Hypertens (abstract). 14(Suppl 1). S141 (1995)