1996 Fiscal Year Annual Research Report
非血縁ドナーからの骨髄移植を受けた患者における免疫再構築に関する研究
Project/Area Number |
08670861
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山上 正彦 金沢大学, 医学部・附属病院, 講師 (30191216)
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Keywords | 同種骨髄移植 / 白血病 / NK活性 / LAK活性 / 細胞障害性Tリンパ球 |
Research Abstract |
同種骨髄移植を行った白血病患児リンパ球のサブセットの変動、特に細胞障害性Tリンパ球やナチュラル・キラー(NK)細胞の比率の変化を観察した。これによって自己、血縁ドナー、非血縁ドナーからの移植後の免疫学的再構築の差を比較検討し、拒絶や移植片対宿主病(GVHD)の病態を解明すると同時に対策について考えた。その結果自己の場合はCD4陽性細胞は減少するものの回復は速やかであるのに比して、ドナーからの同種骨髄移植ではGVHDの有無や程度によるがCD4陽性細胞の回復は遅く、CD4陽性細胞が正常数に回復するのに1年を越える症例もしばしば見られる。 一方、GVHDと移植片対白血病(GVL)効果の関連性も重要な問題であり、移植後の患者リンパ球がどの程度の殺細胞効果を持っているかを測定した。NK活性やIL2添加培養後のリンフォカイン活性化キラー(LAK)活性は移植後の期間、状態、合併症によって、変化していくと思われるので、その推移を一部の症例で継続的に測定した。その結果、移植後の患者では早期にNK細胞の表面マーカーであるCD16,CD56,CD57が総体的に増加し、その結果NK活性やLAK活性が対照と比して高かった。Tリンパ球のサブセットではCD4陽性細胞が絶対的に減少しており、これが移植後のウィルス感染に対しての易感染性の指標になるようだ。 最後に、患者自身の初発時の芽球に対する移植後のリンパ球の態度には非常に興味があり、その殺細胞効果はNK活性やLAK活性と関係があるのか、またはそれ以外の活性化された細胞障害性T細胞によるものなのか、そのメカニズムを今後解明したい。
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