1997 Fiscal Year Annual Research Report
ピルビン酸脱水素酵素変異遺伝子の発現系確立とその臨床応用に関する研究
Project/Area Number |
08670893
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Research Institution | University of Tokushima |
Principal Investigator |
伊藤 道徳 徳島大学, 医学部, 講師 (40211057)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 泰弘 徳島大学, 医学部, 教授 (20035471)
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Keywords | ピルビン酸脱水素酵素 / 先天性高乳酸血症 / 発現系 / 変異遺伝子 / ピルビン酸脱水素酵素欠損症 |
Research Abstract |
小児の難病の一つである先天性高乳酸血症の病因として頻度の高いピルビン酸脱水素酵素(PDH)α-サブユニット)E1α)欠損症は,その機能面からピルビン酸結合能の低下,補酵素であるTTP結合能の低下および脱リン酸化能の低下に分類することができる。ピルビン酸脱水素酵素は6つの酵素蛋白質から構成される巨大な酵素複合体であり,その機能異常を検討するための発現系作製には,E1α以外の5つの酵素蛋白質が正常な宿主細胞が必要である。しかし,現在までこのような宿主細胞を用いた発現系は作製されておらず,遺伝子変異が病因であることを確認し,その機能異常を検討することはできない。また,この発現系の作製により,本症の遺伝子病型診断法の確立とともに治療法の開発が期待される。そこで,本研究ではまず正常E1αcDANをPCRで増幅後,クローニングし,CAGプロモーターとともに哺乳動物細胞内発現ベクターに挿入して正常E1α発現ベクターを作製した。次いで,E1α欠損症患者から得られた培養リンパ芽球様細胞にこのベクターを導入後,酵素蛋白量および酵素活性を測定したところ,ともに正常対照と同程度まで増加しており,E1α遺伝子発現システムを確立することができた。次に,変異E1α遺伝子を含む変異E1α発現ベクターを作製した。これにより本発現系を用いて,患者で見出された変異E1α遺伝子を発現させ,遺伝子変異が病因であることを確認するとともに遺伝子変異と機能異常との関連性を明らかにすることが可能となった。また,E1αの変異遺伝子によるPDH機能の詳細な解析を行うために大腸菌を用いたPDHの大量発現系を構築した。さらに,PDH複合体活性が正常な先天性高乳酸血症女児患者において,酵素活性を測定した培養細胞においてX染色体の不活性化の偏りを証明し,SSCP法およびダイレクトシークエンシング法を用いた遺伝子診断法で新たな遺伝子変異を見いだし,本患児の先天性高乳酸血症がE1α異常に基づくものであることを明らかにした。
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Research Products
(1 results)