1996 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙飛行士の宇宙飛行後における骨塩定量の減少と生体構成成分の変化についての研究
Project/Area Number |
08671055
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
川上 憲司 東京慈恵会医科大学, 医学部・放射線医学講座, 教授 (10056814)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
重松 隆 東京慈恵会医科大学, 医学部・内科学講座第2, 講師 (30187348)
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Keywords | 男性宇宙飛行士 / 骨塩量変化 / 荷重骨 / 微少重力環境 |
Research Abstract |
日本人男性宇宙飛行士を対象として、飛行前後の骨塩量の変化について検討した。 骨塩量の変化は、荷重骨である腰椎において2.5〜3.5%の減少を示していた。大腿骨頚部で3%、踵骨で1%前後の減少がみられた。全身モードで測定した全身骨塩量は有意な変化を認めなかった。また、下肢では1〜2%減少があったが、頭部では逆に1〜2%の増加がみられた。 今回の飛行では、腰椎、大腿骨頚部で2〜3%減少しており、DXA(Hologic)の再現性を考慮に入れてもこの値は有意な骨塩量の減少といえる。Oganovらは20人の飛行士の4.5〜14.5ケ月の飛行で3〜9%減少したことを報告している。しかも減少の速度は飛行期間の長さと反比例しており、飛行初期に大きいことを指摘している。踵骨においても1%弱であるが減少傾向にあった。 全身骨塩量は飛行前後で殆ど変化なく、前腕骨も変化を認めなかった。MD法による右第2中手骨の変化も検査精度からみて有意といえなかった。海綿骨で荷重骨である腰椎での減少は、微小重力環境によるものとおもわれる。 一方、頭蓋骨では飛行後逆に1〜2%増加していた。前回のIML-2の測定においても同様の結果が得られていた。頭蓋骨での増加は血流の再分布の効果やグルココルチコイドなどのホルモンレベルの変化なども考えられる。Roerらは栄養血流の再分布、すなわち頭側への血流分布の増加のため頭部でむしろ骨塩量が増加したと報告しており、Oganovらは体液の再分布を原因としている。 今回はDXAによる骨塩定量を中心に検討したが、荷重骨である腰椎、大腿骨頚部、踵骨において骨塩量の有意な低下を認めた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 川上憲司: "呼吸器核医学" Radioisotopes. 45 (4). 287-284 (1996)
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[Publications] M.Suzuki: "Change in renal blood flow measured by radionuclide angiography floowing exhausting exercise in humans" Eur J Appl Physiol. 74. 1-7 (1996)
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[Publications] 凌慶成: "バセドウ病治療後における身体構成成分の変化" 日本医学放射線学会誌. 56 (3). 121-124 (1996)
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[Publications] 森豊: "内分泌疾患におけるRI診断法の進歩" 医学のあゆみ. 178. 410-411 (1996)
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[Publications] 川上憲司: "画像でわかる私のからだ" 講談社, (1996)