1996 Fiscal Year Annual Research Report
水頭症治療用髄液短絡管に必要な免疫学的および物理学的検討と新素材に関する研究
Project/Area Number |
08671583
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
倉田 浩充 神戸大学, 医学部・附属病院, 助手 (20240856)
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Keywords | 水頭症 / シャント / 素材 / シリコン / FNY / PTFE / 免疫反応 |
Research Abstract |
ニホンウサギを用いて水頭症短絡管の素材の生体に対する反応性を検討した。検討した素材は従来より用いられているシリコンゴムとフッ素系高分子化合物であるFNYおよびPTFEである。腹腔内および皮下に小円盤状にした検体を埋没させ、経時的に検体を摘出しHE染色にて観察した。両検体の差は肉眼的にも認められた。1週間の急性期においてもシリコンの周囲には結合組織の比較的厚い膜が形成されていたが、FNYではほとんど急性期には認められなかった。HE染色を行った比較でも、1週目より両検体ともリンパ球の浸潤を認めたが、その程度は明かにシリコンの方が強かった。またシリコンでは一部の周囲にリンパ球の集族が見られた(lymphocytic cluster)。2週目では両検体共lymphocytic clusterが認められたが、その程度はシリコンの方が強く、マクロファージの集族した多核巨細胞の出現も見られた。4週目以降の慢性期にはシリコンでは強い線維性結合組織が見られ、FNYおよびPTFEではごくわずかに見られるに過ぎなかった。 従来シリコンは異物反応が少ない物質として短絡管に用いられてきたが、本研究よりシリコンにおいても免疫反応の関与する異物反応は強く、短絡管機能不全の大きな原因の一つとなっていることが強く示唆された。またFNYおよびPTFEはシリコンと比較し、免疫反応が少なく、より短絡管機能不全が起こりにくい材質と考えられる。今後FNYおよびPTFEの物理化学的特性をさらに検討し、短絡管の試作を行っていきたい。
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Research Products
(1 results)