1996 Fiscal Year Annual Research Report
糖輸送担体を利用した新しい脳腫瘍画像診断法と薬物療法の開発
Project/Area Number |
08671626
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tazuke Kofukai Medical Research Institute |
Principal Investigator |
西岡 達也 財団法人田附興風会, 医学研究所・第4研究部, 主任研究員 (10270563)
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Keywords | 糖輸送担体 / 脳腫瘍 / 糖代謝 / 画像診断 / 遺伝子療法 |
Research Abstract |
研究目的:グルコースは全ての細胞のエネルギー代謝にとって最も重要な物質であり、細胞内へのグルコースの取り込みは糖輸送担体と呼ばれる特異的な膜貫通蛋白(糖輸送担体:GLUT)を介して行われている。GLUTは数種のアイソトープからなり,グリオーマではこのうちGLUT3,一部GLUT1(共に基礎糖輸送を担うGLUT)の発現が著しく亢進し,しかもこの発現量は腫瘍の悪性度と相関することから,本研究の目的は標識抗糖輸送担体抗体やアンチセンスDNAを用いた画像診断法や抗腫瘍効果を模索する事にある。結果:(1)肝細胞癌株HepG2をコントロールとしてヒト中枢神経系グリア由来脳腫瘍細胞株9種,網膜芽細胞種を始めとする神経由来細胞株5種を培養しsugar deprivation後3時間にRNA抽出,Northern blotting法にてGLUT1,GLUT3 mRNAを半定量した所,GLUT1 mRNAは全腫瘍細胞株に検出しえたが,GLUT3 mRNAはグリア由来脳腫瘍細胞株で7/9に検出されたものの神経由来細胞株では検出されなかった。これより培養細胞系における糖輸送についてもグリオーマでGLUT3が特異的に関与することが示唆された。(2)特に発現量の顕著であった5種のグリオーマ細胞株にてポリクローナル抗体を用いた免疫組織学的手法でGLUT1,GLUT3の蛋白レベルでの発現を確認しえた。(3)現在,GLUT3 mRNAの発現量の最も高かったグリア由来脳腫瘍細胞株T98Gを直接ヌードマウス脳内に微量注入しこれによる脳腫瘍モデルを作成中である。
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