1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08671672
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 勝彦 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (50205902)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 臣一 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (80045773)
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Keywords | 腰痛 / 腰部コンパートメント症候群 / 腰椎後弯変形 / 腰部脊椎症 / 腰背筋 / 脊柱起立筋 / 慢性腰痛 / 実験的研究 |
Research Abstract |
腰痛性間欠跛行の病態解明のため、慢性脊柱後弯モデルを作成し、腰椎部背筋群の筋内圧と筋血流の関係について検討した。【対象と方法】雑種成犬12頭(8-12kg、平均9.6kg)を用いた。全身麻酔下に側方アプローチにより第3から第5腰椎の椎体をAOプレートで固定し、後弯モデルを作成した。固定後の腰椎後弯角は、15.8±5.9°であった。術前(n=12)、術直後(n=12)、1週間後(n=4)、および1カ月後(n=5)に第4腰椎高位で腰背筋(軸上筋)の筋内圧と筋血流を測定した。筋内圧の測定にはMiller microtipcatheterを用いた。筋血流の測定は水素クラアランス法で行った。測定結果は分散分析法とポスト・ホックテストを用いて、統計学的に検討した。【結果】1.筋内圧:腰背筋の筋内圧(mmHg)は、術前8.6±7.6、術直後18.6±8.2、1週間後12.5±8.6、1カ月後12.0±5.3であった。術前の筋内圧と比較して、術直後の筋内圧は有意(p<0.005)に大きかったが、1週間後では有意差は認められなかった。2.筋血流:腰背筋の筋血流量(ml/min/100g)は、術前99.9±24.9、術直後74.8±13.1、1週間後83.0±29.0、1カ月後93.6±13.0であった。術前の筋血流と比較して、術直後の筋血流は有意(p=0.005)に低下していたが、1週間後では有意差は認められなかった。【考察】今回の研究から、腰背筋に対して後彎変形という静的な変化を与えた場合の筋内圧と筋血流量の変化は、一時的には筋内圧が上昇し筋血流量が現象するものの、その後は順応し回復してしまうことが判明した。腰椎後弯変形という静的異常状態のみでは持続的な腰背筋の筋内圧上昇や筋血流量低下はきたさない。臨床的研究で、腰椎後弯変形に伴う腰痛性間欠跛行の症例では、立位や歩行の負荷による腰椎部背筋群の持続性筋放電や易疲労性が認められている。したがって、腰痛性間欠跛行の病態には、脊柱の後弯化という静的因子に、さらに動的因子が深く関与していることが示唆された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 長総義弘: "腰痛性間欠跛行の臨床的検討" 整形・災害外科. 35. 683-688 (1992)
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[Publications] Shinichi Konno,Shinichi Kikuchi Yoshihiro Nagaosa: "The Relationship Between Intramuscular Pressure of the Paraspinal Muscles and Low Back Pain" Spine. 19. 2186-2189 (1994)
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[Publications] 菊地臣一: "腰椎背筋群にけるコンパートメント症候群の病態と治療" リハビリテーション医学. 32. 531-540 (1995)
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[Publications] 荒井至,菊地臣一,佐藤勝彦: "腰痛性間欠跛行の電気生理学的検討" 日本整形外科学会雑誌. 69. S684- (1995)