1996 Fiscal Year Annual Research Report
手術浸襲時におけるヒトリンパ球接着分子発現の動態と免疫応答の検討
Project/Area Number |
08671731
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
谷口 良久 京都大学, 医学研究科, 助手 (20243016)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 健次郎 京都大学, 医学研究科, 教授 (20025620)
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Keywords | 免疫応答 / 遺伝子発現 / 接着分子 |
Research Abstract |
腹部手術及び、脳外科手術において、手術侵襲下ヒトリンパ球を採取し、細胞膜上に発現している接着分子(LFA-1、CD35、CR3、p150,95)の動態をモノクローナル抗体を用いてフローサイトメーターにて測定した。CD35、CR3、p150,95においては、細胞表面に発現している接着分子の変化を認めることはできなかった。しかしながら、LFA-1は、腹部手術においては手術開始早期(約1時間)よりLFA-1を発現しているリンパ球の低下を認めた。一方、脳外科手術においては、LFA-1の発現に有為な変化を認めることはできなかった。これらのことは、腹部手術においては腹膜等に存在するマクロファージが開腹手術により刺激を受けて炎症を引き起こし、ケモタクテック因子を放出することによりリンパ球を炎症部位に誘因している可能性を示唆していると考えられる。また我々は、スーパーオキシドジスムターゼ、グルタチオン還元酵素、カタラーゼ、チオレドキシンの活性酸素消去系蛋白の遺伝子発現を、ヒトT細胞リンホ-マ由来細胞株Jurkat細胞及び正常ヒトリンパ球をin vitroにて細胞に過酸化水素等の酸化剤を加えたメディアムにて一定時間培養した後、メッセンジャーRNAを抽出し、ノーザンブロッティング法にて解析した。このin vitroにおける遺伝子発現の解析の結果はチオレドキシン遺伝子が酸化的刺激に対し新しい遺伝子発現の機構にて遺伝子を発現、誘導していることが示唆された。
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