1996 Fiscal Year Annual Research Report
膀胱腫瘍の悪性進展のマーカーとしての糖鎖抗原の発現およびその調節因子測定の意義
Project/Area Number |
08671839
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
山田 拓己 埼玉医科大学, 医学部, 助教授 (50159216)
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Keywords | 膀胱腫瘍 / シアル酸 / シアリルLewis X |
Research Abstract |
10例の膀胱腫瘍組織と3例の正常膀胱上皮の組織を用い,シアル酸含量をNANA-Aldolase法を用いた酵素法にて,シアリルLewis Xの含量は抗シアリルLewis Xモノクロナール抗体(SNH-3)を用いたELISA法にて定量した.さらに,シアル酸については,Triton-X100にて処理し,可溶化分画の比率を検討した.シアル酸の血中の基準値は47〜74mg/dlであるのに対して,膀胱腫瘍症例の血中のシアル酸含量は98.92【.+-。】1.62mg/dlと有意に上昇していた.そこで,細胞内のシアル酸の局在を調べるために細胞分画法を行い,正常組織と腫瘍組織のシアル酸含量の比率を検討した結果,正常組織では膜結合分画が87.4%,可溶化分画が11.4%であるのに対し,腫瘍組織では,それぞれ99.3%および1.20%と膜結合分画の含量の上昇がみられた.さらにTriton-X100を用いて可溶化を行うと可溶化分画の比率は正常組織では65.2%であるのに対して,腫瘍組織では52%と低い値であった.腫瘍組織中のシアリルLewis Xの含量を正常組織と比較すると上昇がみられたが症例によるばらつきが多く今後症例を重ねての検討を要する.尿中のシアル酸およびシアリルLewis Xの含量を正常症例(19例)と腫瘍症例(7例)で比較したところ,シアル酸含量は正常症例が5.42【.+-。】2.53mg/dl,腫瘍症例が27.38【.+-。】10.18と有意に高く,特に遠沈後の上清ではそれぞれ0.03【.+-。】0.07mg/dlおよび5.83【.+-。】7.65mg/dlと顕著な差がみられた.シアリルLewis Xの含量はそれぞれ20.73【.+-。】9.75μg/mlおよび43.5【.+-。】10.6μg/mlであった.血清中のシアル酸含量は正常症例で60.4【.+-。】15.4mg/dl,腫瘍症例で75.93【.+-。】25.01mg/dlと差がみられなかった.
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