1996 Fiscal Year Annual Research Report
子宮癌、卵巣癌発生機序に関するテロメラーゼ活性の分子生物学的研究
Project/Area Number |
08671898
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
永井 宣隆 広島大学, 医学部, 助教授 (90198292)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 順子 広島大学, 医学部・附属病院, 医員
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Keywords | 子宮癌 / 卵巣癌 / テロメラーゼ / TRAPアッセイ法 |
Research Abstract |
子宮癌、卵巣癌発生機序におけるテロメラーゼ活性の関与を検索する目的でPCRを用いた高感度のテロメラーゼアッセイ(telomeric repeat amplification protocol assay : TRAPアッセイ)法でテロメラーゼを検出し、以下の成績を得た。 1.子宮頚癌では約90%にテロメラーゼ活性が検出されたのに対し、正常子宮頚部の発現は認めなかった。一方、前癌病変である異形成では、病変が軽い軽度異形成に比べ高度異形成でのテロメラーゼ活性の検出率が増加し、癌化へと移行する段階でテロメラーゼ活性も上昇する可能性が示唆された。 2.子宮体癌、肉腫においてそれぞれ約85%、100%のテロメラーゼ活性を検出した。 3.卵巣癌では約90%を超えるテロメラーゼ活性を認めたが、胚細胞混入の可能性も考慮し、月経周期を有する正常卵巣、閉経後の正常卵巣におけるテロメラーゼ活性も検討した。その結果、閉経前の卵巣皮質においては弱いテロメラーゼ活性を認めたのに対し、閉経後卵巣ではテロメラーゼ活性を有しなかった。同じ胚細胞性由来の奇形腫においてもテロメラーゼ活性は認めたが、癌組織で検出される強度に比べテロメラーゼの発現は弱かった。また境界悪性腫瘍においてもテロメラーゼ活性は検出されたが、検出率、検出強度は癌に比べ少なかった。 以上より、子宮癌、卵巣癌においては高率にテロメラーゼ活性が検出されたが、前癌段階や一部胚細胞など細胞増殖、分化に関与する細胞でのテロメラーゼ活性の定量化、テロメラーゼの遺伝子発現などの検索が必要である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 永井宣隆: "TRAP Assay法による子宮癌のテロメラーゼ活性" 日産婦誌. 48.4. 227-228 (1996)
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[Publications] 永井宣隆: "分子生物学からみた新しい予後因子" 癌と科学療法. 23.8. 1004-1009 (1996)
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[Publications] 永井宣隆: "ヒトパピローマウィルスと子宮頚部前癌病変" 日産婦誌. 48.9. 177-180 (1996)
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[Publications] 永井宣隆: "産婦人科領域の遺伝子診断" 広島県産婦人科医会会報. 44.1. 8-13 (1996)
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[Publications] 村上順子: "子宮頚癌における傍大動脈リンパ節転移の危険因子と郭清の適応に関する検討" 日癌治. 31.10. 1009-1018 (1996)
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[Publications] 村上順子: "子宮頚癌におけるDNA Fragmeatationの検討" 産婦中四会誌. 45.1. 62-66 (1996)