1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08672028
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
雨宮 文明 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (50231999)
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Keywords | 赤外線 / 受容器 / マムシ / ピット膜 / 透過電顕 / 走査電顕 / 免疫組織化学 / 神経終末 |
Research Abstract |
赤外線受容能を有すマムシのピット膜を材料として、その赤外線センサーの神経機構につき、主として形態学的な手法により研究している。その結果、現在までに以下の点が明らかとなった。(1)ピット膜表面およびピット膜を容れる内腔の表面を走査電顕にて観察したところ、ピット膜の内外表面の角化層には、0.25μm前後のporeがあり、内腔表面には15〜20μmの大型、および2〜6μmの小型のdome状隆起をみた。これらは、ピット膜が可視光を反射し、赤外線を吸収するのに働いていると考えられる。(2)ピット膜を水酸化カリウムにてコラーゲンを除去し走査電顕で観察し、赤外線受容器の三次元的構造を明らかにした。受容器は、自由神経終末およびそれを包むシュワン細胞から成る神経終末魂(TNM)で構成され、ここ到る有髄神経はTNMに入る直前で髄鞘を失っていた。(3)ピット膜に分布する神経線維を免疫組織化学的に染色した。SP(Substance P)およびCGRP(Calcitonin-gene related peptide)に陽性の線維はピット膜内の間質に認められ、varicosityを有していた。VIP(Vasoactive intestinal peptide)およびNPY(Neuropeptide Y)陽性線維はピット膜内に認められないが、ピット膜近傍に認められた。以上より、SP, CGRPはaxon reflexにより、ピット膜内の毛細血管を拡張させるのに対し、VIP, NPYは膜の外の小動脈を拡張あるいは収縮させると考えられた。(4)ピット膜内無髄神経線維の由来は、現在トレーサー実験にて検索中であるが、標準的な神経染色標本にて、ピット膜へ向かう上顎神経の深枝内に神経細胞の集団が散在しており、これが哺乳類における蝶口蓋神経節に当たるものと考えられる。(5)ピット膜への血流分布を、墨汁注入法および樹脂注入走査電顕観察法にて調べた。小動脈は、ピット膜の吻側および腹側から数本ずつ入り、膜内にて、数個のTNMを囲む一層のループ状の毛細血管網を形成する。また、ピット膜から出る小動脈はあらゆる方向に向かっていた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Fumiaki Amemiya et al.: "Ultrastructure of the crotaline snake infrared pit receptors: SEM confirmation of TEM findings." The Anatomical Record. 246・1. 135-146 (1996)
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[Publications] Fumiaki Amemiya et al.: "The ultrastructure of infrared receptors in a boid snake, Python regius: evidence for periodic regeneration of the terminals." Animal Eye Research. 15・1/2. 13-25 (1996)