1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08672028
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
雨宮 文明 横浜市立大学, 医学部, 助教授 (50231999)
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Keywords | 赤外線 / 受容器 / マムシ / ピット膜 / 墨汁注入 / 血管構築 / 電顕 / 血流測定 |
Research Abstract |
本研究は、赤外線という特殊化温覚情報を画像として捉え、視覚情報の有効な補助手段として使っているへビ類の、赤外線センサーのメカニズムの解明することを目的とする。本年度は、ピット膜の血管に焦点を絞り、その血管構築および血流測定実験を行った。1.血管構築:墨汁注入ホールマウント(10例)および、コハク酸脱水素酵素(SDH)と墨汁注入の組み合わせ(4例)、透過電顕(2例)、樹脂注入走査電顕(4例)、計20例の標本作製・観察を行った。(1)墨汁標本では、吻側から3〜5本、腹側から4〜7本の小動脈が、神経束の中を通ってピット膜に入り、毛細血管網を形成していた。毛細血管網は、原則として一層の円形もしくは楕円形のループを形成し、その大きさは前方視領域(膜の尾側部)および、周辺部で小さく、血管網が密な傾向があった。(2)SDH標本からは、一つの血管ループが数個のTNMを囲み、両者は近接していた。(3)透過電顕により、血管の種類を同定し、小動脈は小静脈に比し平滑筋層が発達し、血管内皮細胞が内腔に突出していた。(4)ピット膜、皮膚、網膜、の3ヶ所に、樹脂血管注入を行い、走査電顕で比較観察した結果、ピット膜が最も血管に富み、また毛細血管の像が特異であることがわかった。2.血流測定実験:28例のマムシにピット膜血流を、レーザー血流計を用いて測定した。13例に、はんだごてをあてて血流変化をみた。その結果、(1)熱刺激により、ピット膜へ小動脈から流入する血流量は増加する。(2)ピット膜の血流変化は、熱刺激の方向により異なり、これはピット膜血流が局所的に変化していることを示す。(3)熱刺激受容部位の毛細血管網は拡張し、その血流量は低下するが、熱刺激の当たっていない部位の毛細血管網の血流量は増加することがわかった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Fumiaki Amemiya et al.: "Ultrastructure of the crotaline snake infrared pit receptors:SEM confirmation of TEM findings." The Anatomical Record. 246・1. 135-146 (1996)
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[Publications] Fumiaki Amemiya et al.: "The ultrastructure of infrared receptors in a boid snake,Python regius:evidence for periodic regeneration of the terminals." Animal Eye Research. 15・1/2. 13-25 (1996)