1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08672061
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
青木 満 東京女子医科大学, 循環器小児外科, 助手 (80175736)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根本 慎太郎 東京女子医科大学, 循環器小児外科, 助手 (20237811)
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Keywords | 心筋保護 / 未熟心筋 / 心保存 |
Research Abstract |
新生児(生後5-10日)家兎摘出心を用いたLangendorf灌流モデルにて、左室内バルーンによる心内圧の変化から心機能を評価し、未熟心筋における心筋保護効果に関して以下の結果を得た。 1.心筋保護液中アデノシンの未熟心筋に対する保護効果とその作用機序におけるATP-sensitive K^+channel(K^+ channel)の意義を明かにするため、20℃にて3時間虚血とし、心筋保護法にSt.Thomas(ST)液を用いたST群、ST液にアデノシンを1.34mg/L加えた群、クロマカリム10μMを加えた群で比較しところ、アデノシン群では有意に良好な心機能の回復を示したが、クロマカリムは今回用いた高K^+脱分極型心筋保護液中では効果を認めず、過分極心停止がその効果発現に必要であること、低温での電解質チャンネル活性の違い、新生児の電解質チャンネルの未熟性などが考えられ、アデノシンの心筋保護効果におけるK^+ channelの関与は少ないと考えられた。 2.ヒスチジンは、生理的pH付近で強い緩衝作用をもち細胞内に入りアシドーシスを改善する。未熟心筋におけるヒスチジンの効果とpHの関係を検討した。20℃で3時間虚血とし、心筋保護にSt.Thomas(ST)液単独を用いたST群、ST液にL-Histidineを加えpHを6.8(37℃)に調整したH-A群、ST液にL-Histidineを加えpHを7.4(37℃)に調整したH-N群で比較した。pH6.8のH-A群は、ST群,H-N群に比べ有意に良好な心機能の回復を示し、pH7.4のH-N群とST群間には有意差はなかった。これは、ヒスチジンの未熟心心筋保護における有用性と共にその効果のpHとの密接な関連を示唆する。 3.人工心肺の溶血による腎障害は知られているが、心機能に及ぼす影響の検討はない。遊離ヘモグロビン(free Hb)中の鉄イオンは活性酸素の産生を触媒し、特に虚血再灌流障害を増悪する危険性がある。溶血の非虚血時および虚血再灌流後の心機能に及ぼす影響を非虚血、溶血(-)群、非虚血、baseline測定後溶血によるfree Hb(1mg/dl)を添加した群、虚血、溶血(-)群、及び虚血・再灌流時にfree Hb添加した群で比較検討したところ、溶血群では心機能障害を招来し、特に虚血再灌流群で不良であった。従って、臨床では人工心肺による溶血予防、ハプトグロビン使用など積極的な対応が必要と考えられた。
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