非腫瘍性唾液腺病変の病理学的研究、とくに系統疾患における病態と診断的意義について

1998 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 08672084
• Research Institution: Iwate Medical University
• Principal Investigator: 武田 泰典 岩手医科大学, 歯学部, 助教授 (60137536)
• Keywords: 唾液腺 / 非腫瘍性病変 / 過形成 / メラノサイト / 口腔粘膜上皮 / 鑑別診断

Research Abstract

1. 唾液腺腫瘍周囲組織の非腫瘍性ならびに腫瘍性増殖に関する検討。
(1) 良性腫瘍被覆口腔粘膜上皮の非腫瘍性増殖:小唾液腺由来の良性腫瘍を被覆する口腔粘膜上皮はときに著しい反応性増殖を来し、扁平上皮癌との鑑別を要することがあることを明らかにした(Pathology International)。
(2) 悪性腫瘍被覆口腔粘膜上皮の癌性変化:小唾液腺由来の悪性腫瘍を被覆する口腔粘膜上皮に、同時性に癌性変化がみられ、結果として衝突癌となることを明らかにした(Brit J Oral Maxillofac Surg,in submitted)。
2. ヒト唾液腺におけるメラノサイトの出現について。
従来、このような所見の内外での記載はなく、本研究で初めて明らかになった事実である。平成9年度には耳下腺における所見を報告し(Pathology International)、本年度はそれに引き続き小唾液腺の所見を検索し、現在論文を作成中である。
3. その他の非腫瘍性病変について。
当初の計画に沿って研究を進め、現在結果を整理中(一部については論文作成中)である。
4. 唾液腺腫瘍の特殊な組織所見と、それらの鑑別診断について。

Research Products

• [Publications] Takeda,Y.,et al.: "Pleomorphic adenoma of the minor salivary gkland with pseudoepitheliomatous hyperplasia" Pathology International. 48・5. 389-395 (1998)
• [Publications] Takeda,Y.,et al.: "Pleomorphic adenoma with palisade arrangement of modified myoepithelial cells." Bulletin of Tokyo Dental College. (in press).
• [Publications] 武田泰典: "著しいglobular hyalinosisを呈した唾液腺腫瘍の2例." 日本唾液腺学会誌. 39. 28-30 (1998)
• [Publications] 武田泰典: "多形性腺腫における非定型的な組織所見について." 日本唾液腺学会誌. 39. 73-74 (1998)
• [Publications] 武田泰典: "唾液腺癌に接する口腔粘膜に上皮内癌をみた症例 : 二重癌か,あるいは唾液腺癌の影響による口腔粘膜上皮の癌化か?" 日本唾液腺学会誌. (印刷中).
• [Publications] 武田泰典: "Bizarre ull pleomorphic adenoma(仮称)の提唱." 日本唾液腺学会誌. (印刷中).
• [Publications] 石川梧朗,他: "口腔病理学II,第2改訂版" 永末書店(印刷中),
• [Publications] 賀来享,他: "歯科学生のための一般病理組織アトラス,第2版" 永末書店(印刷中),