1996 Fiscal Year Annual Research Report
軟骨肉腫由来軟骨細胞様細胞株HCS-2/8におけるIGF-2遺伝子の発現制御
Project/Area Number |
08672124
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高橋 浩二郎 岡山大学, 歯学部, 助教授 (00144775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝川 正春 岡山大学, 歯学部, 教授 (20112063)
服部 高子 岡山大学, 歯学部, 助手 (00228488)
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Keywords | 軟骨肉腫 / 軟骨細胞 / IGF-2遺伝子 / インプリンティング / 転写制御 / 転写制御因子 |
Research Abstract |
軟骨細胞の増殖分化過程を解明するために、軟骨組織に多量に存在してオートクリン的機能を示す2型インスリン様成長因子遺伝子(IGF-2)の発現制御を調べることも必須である。そのことを目的とした本申請研究では、軟骨肉腫由来軟骨細胞様細胞株(HCS-2/8)を用いて、IGF-2遺伝子の(1).未決定のプロモータ(P2)の転写制御領域(イントロン3)の塩基配列の決定、(2).各プロモータに対する転写制御因子の探索、(3).各プロモータからの転写強度の比較検討、(4).増殖分化に対応して変動する各プロモータ間の発現量の解析、を行う予定である。そのうちの本年度予定の(1)のP2の転写制御領域のPCR増幅は、数種類の市販のDNAポリメラーゼでは成功しなかった。その原因として、この転写制御領域をIGF-2遺伝子の特徴であるインプリンティングに関連したCpGアイランドであるところのGCに富んだ]領域である可能性が示唆された。従って、その転写制御領域のPCR増幅を断念して、現在、サザンブロットによるその領域の検出と調製を行っており、本年度末までにはその領域の制限酵素マップが作成できる見通しである。もう一つの本年度予定の(2)に関連した問題において、P2以外のP1、P3、P4の各プロモータの転写制御領域にコンセンサスな結合領域のあるSP-1(specific protein-1)、EGR1(early growth responce gene product 1)、WT1(Wilms tumor suppresor)のHCS-2/8での発現量はアスコルビン酸添加に伴って数倍から10倍にまで増加していたが、IGF-2遺伝子の発現制御に係っている可能性が示唆されてきている一種の癌抑制遺伝子のH19の発現はアスコルビン酸によって抑制される、と言う結果を得た(第14回日本骨代謝学会,平成8年7月(大阪)発表)。さらに、アスコルビン酸に加え、レチノイン酸、ホルボールエステルによるIGF-2遺伝子の各プロモータからの発現変動およびそれら転写制御因子の発現変動も調べ、一連の結果をまとめた論文を作成中である。
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