1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08672163
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
工藤 啓吾 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (30048300)
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Keywords | 誘発舌癌 / リンパ管 / 酵素組織化学的観察 / 5'-nucleotidase(5'-Nase) |
Research Abstract |
5'-nucleotidaseを用いた動物実験によって以下の結果を得た.すなわち,対照群では毛細リンパ管がすべての結合組織乳頭内に存在していた.この毛細リンパ管は粘膜固有層内毛細リンパ管と合流し、筋層内の集合リンパ管に注いでいた.腫瘍宿主境界部においても対照群と同様にすべての結合組織乳頭内に毛細リンパ管が存在し,粘膜固有層内毛細リンパ管,筋層内集合リンパ管も対照群と同様の形態を呈していた.しかし結合組織乳頭内,粘膜固有層内毛細リンパ管は対照群に比べて染色性がやや低下していた.リンパ管の口径は対照群に比べて有意差が認められなかった.腫瘍中央部では癌下結合組織内毛細リンパ管および筋層内集合リンパ管の口径は,対照群および腫瘍宿主境界部に比べて有意に増大し,リンパ管の染色性も低下していた.しかし,管腔周囲に鉛の沈着が認められたことから,毛細血管と毛細リンパ管とを識別することができた.また,癌下結合組織内毛細リンパ管網は常に一層のままで走行し,かつ蛇行傾向が強くなっていた. 腫瘍中央部の毛細リンパ管は,対照群に比べて口径が有意に増大していた.このことは,腫瘍直下では正常組織に比べて毛細血管の透過性が増大し,これを効率よく吸収するために毛細リンパ管の口径が対照群に比べて有意に増大し,さらに蛇行することによって毛細リンパ管自体の表面積が増大することを示唆しているものと考えられた. 平成8年度の研究では動物実験により以上の結果が得られたと同時に,口腔癌への臨床応用が十分に可能であると思われた.今後は,考察を加えるとともに,ヒト生検材料を用いた研究を行い,本染色法の臨床応用をより確実なものとしていくよていである.
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