1996 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト唾液腺由来腺様嚢胞癌の癌遺伝子および癌抑制遺伝子の変異の解析
Project/Area Number |
08672302
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
中西 孝一 神戸大学, 医学部, 助教授 (20030934)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥 尚久 神戸大学, 医学部・附属病院, 医員
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Keywords | 唾液腺腫瘍 / 腺様嚢胞癌 / 癌遺伝子 / 癌抑制遺伝子 / p53 / ras / APC |
Research Abstract |
1、「研究目的」腺様嚢胞癌は唾液腺由来の悪性腫瘍の中で最も発生頻度が高い腫瘍で、発育は緩慢であるが周囲への浸潤傾向が強く、肺転移を生じることもまれではない。我々が検索しえた範囲内では、腺様嚢胞癌に対する癌遺伝子や癌抑制遺伝子に対する研究は、主にc-erbB2、ras癌遺伝子やp53癌抑制遺伝子産物の発現を免疫染色にて解析しているのがほとんどであり遺伝子の変異まで堀り下げて検討した報告はほとんどないのが現状である。よって本研究の目的は、ヒト唾液腺由来腺様嚢胞癌におけるras癌遺伝子、p53及びAPC(adenomatous polyposis coli)癌抑制遺伝子変異を同定し解析するところにある。 2、「研究計画」1980年から1991年に当科を受診した頭頚部悪性腫瘍411例のうち、腺様嚢胞癌は28例を占めており、これらのパラフィン切片よりDNAを抽出しras癌遺伝子、p53およびAPC癌抑制遺伝子の各センスおよびアンチセンスプライマーを用いてPCR法にて遺伝子を増幅させる。数症例において、変異の有無をまずPCR-direct dideoxy sequencing法にて確認後、PCR-SSCP法の条件を確立させ、以後、遺伝子変異のスクリーニングを行った後、最終的に変異があると思われる症例についてPCR-direct dideoxy sequencing法を施行し変異の同定を行う。 3、「研究成果」腺様嚢胞癌28例のうち10例においてパラフィン切片よりDNAを抽出する条件の確立及び新鮮なDNAではないために目的領域が充分に増幅されるPCRの条件の設定のために何度もPCRを施行し、最近やっと目的にあう条件を見い出した。その後、p53の遺伝子変異のHot spotつまりexon5からexon9の領域のPCR-direct dideoxy sequencing法を行い4例のcodon248にCGGからTGGへのpoint mutationを有する症例が2例,CGGからCAGへのpoint mutationを有する症例が2例認められた。現在他の症例の変異の同定とPCR-SSCP法の条件の確立を急いで行っているところである。
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