1996 Fiscal Year Annual Research Report
生理活性物質の合成を指向したラジカル環化プロセスの開発と展開
Project/Area Number |
08672426
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
宍戸 宏造 徳島大学, 薬学部, 教授 (20006349)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渋谷 雅之 徳島大学, 薬学部, 教授 (40027066)
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Keywords | ラジカル環化 / 環拡大反応 / 抗腫瘍活性 / インターロイキン-1 / 慢性関節リウマチ / テルペン / リパーゼ / 光学分割 |
Research Abstract |
筆者は、まず生理活性天然物の実用的合成を指向した新規ラジカル環化法の開発と展開を目的とし、アルキルラジカルが介在する環拡大反応及びアシルラジカルを経る7員環形成反応の開発と抗腫瘍活性を有するセスキテルペン、コンファーチンの不斉全合成への展開を検討した。さらに、ラジカル付加、ケイ素-酸素結合の酸化を鍵段階とするインターロイキン-1産生遊離阻害活性を有するジテルペン、トリプトキノンBおよびCの不斉全合成研究を行った。 1、ラジカル環拡大反応の開発と抗腫瘍性セスキテルペン、コンファーチンの合成 ラジカル環化と続くケイ素-酸素結合の酸化を組み合わせて用いる合成ルートに従って導いた基質をアルキル、及びアシルラジカル環化反応に付すことにより、ヒドロアズレン骨格を有する化合物の合成を行った。これより、抗腫瘍性セスキテルペン、コンファーチンの形式的不斉全合成を行った。この全合成は、不斉合成としては第2番目のものであり、その効率性と併せて合成化学的価値は大きい。 2、ラジカル環化反応を活用するインターロイキン-1産生遊離阻害活性を有するキノイド型ジテルペン、トリプトキノンB及びCのキラル全合成ならびに植物カルス成分トリプトカロールの全合成と絶対立体構造の決定 この合成における大きなポイントである2個の不斉四級炭素を含む四連続不斉中心の構築は、1で開発したプロセスを活用して高ジアステレオ選択的に行った。その出発物質である光学活性三環性ヒドロフェナンスレン誘導体の合成は、candida由来のリパーゼを用いる光学分割法を用いて効率的行った。これより植物から微量にしか得られないインターロイキン-1産生遊離阻害活性を有するキノイド型ジテルペントリプトキノンB及びCの合成を行った。ここで開発した合成ルートは、両天然物の大量供給を可能にした。また、著者の研究室で植物カルスの一成分として単離し、トリプトキノンB及びCの生合成前駆体と考えられるジテルペン、トリプトカロールの全合成も、この方法を適用することで達成した。さらに、トリプトカロールより2工程操作で簡便にトリプトキノンCへと導く方法も確立し、未知であったトリプトカロールの絶対立体構造の確認も行うことが出来た。ここで開発した方法論は、両エナンチオマーを効率良く得ることが出来るものであり、慢性関節リウマチ治療薬の開発の基礎を築いた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.Wakayama: "Pyridoxal-Mediated Cycloaromatization of an Enediyne Model System" Tetrahedron Letters. 37・30. 5397-5400 (1996)
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[Publications] M.Shibuya: "Cycloaromatization of Enediyne Model Compounds via a Reaction Cascade Triggered by Hydrolysis of the α-Alkynylmalonates" Tetrahedron Letters. 37・6. 865-868 (1996)