1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08672557
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
溝口 正 大阪大学, 薬学部, 教授 (00028838)
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Keywords | 酸化的ストレス / 小腸培養細胞 / チオレドキシンレダクターゼ / 転写レベルの誘導 / チオレドキシン |
Research Abstract |
本研究では小腸の培養細胞を用い、酸化的ストレスに対するチオレドキシンシステムの防御機構を明かにすることを目的としており、チオレドキシン並びにチオレドキシンシレダクターゼ活性に焦点をあて研究を進めた。用いた細胞はラット小腸のIEC-6であり、予めウシ胎児血清を含むDMEM培地中、37℃で培養し、続いて90φデイッシュに播種し、18時間後培地を無血清DMEM培地に交換、それに過酸化水素を添加し培養を行った。0.25mM過酸化水素の条件下6時間培養したラット小腸のIEC-6ではチオレドキシンの活性が150%にまで上昇した。その際、チオレドキシンレダクターゼ活性は過酸化水素添加の場合に比べて変動はなかっこ。ラット小腸のIEC-6のチオレドキシン活性の上昇は時間依存的であり0.25mM過酸化水素の条件下6時間にて最高値が観察された。酸化的ストレスによるチオレドキシンの誘導がmRNAレベルで起こっていることを調べるためRT-PCR法により比較検討した。ラットチオレドキシンのcDNAの塩基配列と他の動物種のそれとホモロジーがある約20塩基を非コード部分の2箇所から選びプライマーをデザインした。過酸化水素存在下培養したラット小腸のIEC-6の抽出液からAGPC法により総RNAを単離し,これを材料にRT-PCR法を適用して1.5%アガロースゲル電気泳動を行った。その際増幅回数を制限してチオレドキシンmRNAの濃度を反映するよう条件を設定した。泳動位置約450bpのところに唯一つのバンドを認めチオレドキシンcDNAに一致することを確認した。ハウスキーピング遺伝子であるG3PDH遺伝子は過酸化水素存在下においても影響は受けなかったが、チオレドキシン遺伝子の発現は明らかに過酸化水素存在下において増加した。しかもチオレドキシン遺伝子の発現増加は時間依存的であり12時間にて顕著だった。このようにチオレドキシン蛋白質が酸化的ストレスによって転写レベルで誘導されるが明らかになった。今後誘導されたチオレドキシンがIEC-6の酵素GST及びLDHの酸化的ストレスに防御的に働くことを確認する。
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