1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08672663
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
神田 清子 群馬大学, 医学部, 助教授 (40134291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栃原 裕 九州芸術工科大学, 人間工学部, 教授 (50095907)
飯田 苗恵 群馬大学, 医学部, 助手
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Keywords | 血液・造血器腫瘍疾患患者 / 癌化学療法 / 味覚 / 食事 / 嗜好 |
Research Abstract |
癌化学療法に伴う味覚識別能の実態を明らかにする目的で、癌化学療法が治療の主体となる血液・造血器腫瘍疾患患者で化学療法を受けた入院中の患者45名について治療前・治療中(4日目)・治療後(治療後10日目)に試薬滴下法による味覚識別能の測定を行った。4種類(甘味・塩味・酸味・苦味)試薬を舌上の鼓索神経支配領域にマイクロピッペットで,20マイクロリットル滴下し評価した.分析は対応のあるt検定を行った.同時に食事摂取量や嗜好調査を行い,以下の結果を得た。 1.甘味・塩味・酸味・苦味のうち癌化学療法の影響を強く受けていたのは塩味であり,識別閾値の平均値は治療中敏感になり,治療後は有意に鈍感になっていた(治療前と後P<0.05,治療中と後P<0.01) 2.性別の味覚に及ぼす影響は女性の甘味と塩味で認められた.年齢では若年者,高齢者ともに塩味,喫煙の有無では、甘味と塩味で影響が認められた. 3.癌化学療法剤の種類では、抗生物質剤の影響を強く受けていた.治療中・治療後の重回帰分析の結果では,治療中の苦味と副腎皮質ホルモン剤,治療後の塩味・酸味と抗生物質剤の関係が大きくなっていた. 4.食事摂取割合は治療前8.3割,治療中7.7割,治療後6.8割であり,治療後がもっとも少ない.治療中・治療後に食べられない物は油っぽい物,魚介類が多く,さっぱりした物,麺類,酢の物,パン,ス-プ類はよく食べられていた. これらのことより治療後10日目は塩分に対する味覚が鈍感になっているために,食事をおいしくとるには,油っぽい物を減らし,麺類など塩分の味付けを集中させる料理の工夫が必要である.
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[Publications] 神田 清子他: "がん化学療法を受けた患者の味覚識別能に関する研究 第1報" 日本がん看護学会誌. 12(特別号). 89 (1997)
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[Publications] 神田 清子他: "がん化学療法を受けた患者の味覚識別能の実態 がん化学療法剤と味覚識別能との関係 第2報" 日本看護科学会誌. 17(3). 334-335 (1997)
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[Publications] 神田 清子他: "がん化学療法を受けた患者の味覚識別能に関する研究 第3報" 日本看護科学学会発表予定.