1998 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀初頭物理学における二つの研究伝統に関する研究
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08680080
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Research Institution | SEIREI CHRISTOPHER COLLEGE |
Principal Investigator |
安孫子 誠也 聖隷クリストファー看護大学, 看護学科, 教授 (90202655)
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Keywords | 化学熱学的伝統 / 粒子力学的伝統 / アインシュタイン / ボーア / 単独研究 / 組織的協同研究体制 / 巨大科学 |
Research Abstract |
研究の最終年度にあたる平成10年度は「20世紀初頭物理学における二つの研究伝統」の終着点であるアインシュタインとボーアに焦点をあてて研究を進めた。以下に新たに得られた知見をまとめる。 1. アインシュタインの1905年の3大研究が化学熱学的源泉をもつことについては、既に発表済みであるが、その後の一般相対性理論、物質の波動論についても同様であることが、ほぼ明らかになった。一般相対性理論は、エネルギーが重力質量をもつかどうかという疑問が重要な出発点となっている。また、物質波動論は、理想気体の理論を熱力学第3法則に合致させることが重要な出発点となっている。これらの研究はほとんどアインシュタイン単独で行われた。 2. ボーアの原子構造論は、J.J.トムソンの電子発見に立脚するラザフォードの有核原子模型が出発点となっており、粒子力学的源泉をもつことはあきらかである。微視的領域における物質振舞いの不可解さを表明した「相補性原理」の提出もこの立場から解釈される。その後の「核反応の複合核模型」「液滴模型による核分裂理論」も粒子力学的伝統の延長線上にある。さらに、J.J.トムソンが始めた研究室単位の協同研究方式は、ボーアによって組織的協同研究体制へと発展され、マンハッタン計画等の巨大科学の下地をつくった。 これらについては、第7回「科学史学校」(於:国立科学博物館)講演において予備的報告を行った。また、アインシュタインについての重要な手懸りとなる「京都講演」の資料的調査を行い、投稿中である。しかし、冊子体の「研究成果報告書」の作成にはあと一年要しそうである。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 安孫子 誠也: "クラウジウスによるエントロピー概念の導入-“Veroradlay"の訳語問題に関連して" 科学央研究 第II期. 第36巻(No.203). 157-161 (1997)
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[Publications] Seiya ABIKO: "J.J.Thomson's Theory-Change and the Discovery of Electron" XXth International Cengress of History of Science Book of Abistrocts-Syonposia. 81-81 (1997)
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[Publications] D.Hoffman, F.Berilacgua, B.Stumer ed.: "The Emergence of Modern Physics, Proc,Conf.Commemoruting a Centy of Physics" Universiti degli Studi di Pavia, 529内 pp15-25執筆 (1996)