1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08680101
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
西村 秀二 富山大学, 経済学部, 助教授 (10208217)
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Keywords | スポーツ傷害と刑法 |
Research Abstract |
本年度は、スポーツ障害と刑法に関するわが国の状況を検討した。その結果、諸外国に比べわが国では、スポーツ障害に起因する判例が著しく少なく、アマチュアスポーツに関するものは散見されるものの、プロスポーツに関するものは全く存在しないといってよいことが判明した。 その理由を探ってみると、例えばプロスポーツの代表であるプロ野球については、同野球協約の8条1項に「コミッショナーは、日本プロフェッショナル野球組織を代表し、これを管理統制する」とあり、これに続いて同8条2項は、「コミッショナーが下す指令、裁定、裁決ならびに制裁は、最終決定であって、この組織に居するすべての団体と個人を拘束する」とある。 さらにプロサッカーJリーグ規約165条は、「チェアマンの下す決定はJリーグにおいて最終のものであり、当事者およびJリーグに所属するすべての団体および個人はこれに拘束され、チェアマンの決定を不服として裁判所その他の第三者に許えることはできない」とより明確に規定している。 わが国には、アマチュアの各種団体規約と司法の関係を研究したものはすでにあるが、プロスポーツ組織との問題を研究したものはなかった。 このため、諸外国におけるプロスポーツ組織規約と司法の関係を確立する必要が主じ、これらの資料を収集することに努めたが、それがきわめて困難であり、一部得られたものを手がかりに研究を行った。だが、入手方を依頼してあるその他の資料の検討が不可決であり、現時点では、不十分な研究に終っている。これらの資料の入手をまって、さらに研究を継続していく必要がある。
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