1996 Fiscal Year Annual Research Report
運動の免疫機能に及ぼす影響に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
08680122
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
稲水 惇 広島大学, 教育学部, 教授 (00112186)
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Keywords | 運動 / 免疫能 / 分子生物学 / IL-1 / IL-2 / IL-6 / TNF |
Research Abstract |
運動負荷前後における末梢血単核球のサイトカインmRNAの発現を指標にして、運動の免疫能に及ぼす影響を検討した。 1.対象:19〜22歳の男子大学生5名 2.運動負荷の方法:自転車エルゴメーターを用いて運動を負荷した。最大運動負荷、および60%、40%VO_2maxに相当する運動を50分間負荷し、運動負荷直前と負荷直後に採血した。 3.サイトカインmRNAの定量:RT-PCR(reversetranscription-polymerasechain reaction)によって、末梢血単核球におけるIL-1,IL-2,IL-6,TNF-αの各サイトカインmRNAの発現を検討した。 4.成績 (1)最大運動負荷時のサイトカインmRNA:TNF-αのmRNAの発現は、運動負荷後有意な減少がみられた。すなわち、(1)IL-1α:5名中2名で運動負荷後に増加、3名で変化はみられなかった。(2)IL-2:5名中2名で運動負荷後に増加、1名で減少、2名で変化はみられなかった。(3)IL-6:5名中3名で運動負荷後に減少、2名で変化はみられなかった。(4)TNF-α:5名中4名で運動負荷後に減少、1名で変化はみられなかった。 (2)60%VO_2max運動負荷時:現在検討中 (3)40%VO_2max運動負荷時:IL-1,IL-2,IL-6,TNF-αのいずれのサイトカインにも有意な変動はみられなかった。 以上のごとく、従来報告されている運動による血漿中サイトカイン濃度の変動とmRNA発現との間にはかなりの解離がみられ、さらに検討を要し、そのうえで、健康増進のための運動強度を決定する。
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