1996 Fiscal Year Annual Research Report
直下形地震に遭遇した場合の走行列車の安全性に関する研究
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08680487
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
永瀬 和彦 金沢工業大学, 工学部, 教授 (10228017)
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Keywords | 地震 / 鉄道 / 列車 / 脱線 / 鉄道車両 / 震災 |
Research Abstract |
阪神大震災で脱線又は重大な損傷を被った車両が在線した箇所は気象庁が発表した震度階級7の被災地域とほぼ一致することがわかった.被災箇所の割合を高架,地上及び地下で区分したところ,地下在線中の車両の被災割合が最も少なく,高架橋在線中の車両の被災割合は圧倒的に高くほとんど全ての車両が何らかの被害を被っていた.よって,地下に在線する車両の耐震性は他の線区のものに比べ高いといえる. 脱線の状況を調査した結果,激しい地震動により軌道が全く損傷していないのに飛び上がり脱線した車両があり,走行又は停止中の車両の心皿がが激しい上下動により脱出して心皿の脱出防止用コックが破断した事例も複数確認された.このような信じがたい激しい揺れに遭遇した列車は,どのような手段を講じても脱線を防止出来ない. 幸いなことに,このような深刻な事態が発生した場合でも列車が崩壊した橋梁や高架橋に高速で突っ込む可能性は高くはないと判断できる事実を見いだした。土木構造物が重大な損壊を被るような激しい地震動に遭遇した場合,列車は全軸脱線し,非常ブレーキで減速するよりはるかに高い減速度で急停車しているからである.他方,構造物の崩壊や陸橋の落橋は列車が停止した時点以降に発生したと指定される事例がほとんどだったからである。従って,一部で提案されている脱線防止用レールを積極的に架橋橋上の軌道に敷設して震災時の脱線を防止しようとの考え方は必ずしも最善の策とは言えない。 走行列車が激震に遭遇した場合に考えられる最も大きな人的被害の一つは,地下鉄内で高速走行する列車が揺れによりトンネル側壁に設置されたトラフや信号機に激突して側窓や側扉が大破するケースである.かような事態を回避するために地下鉄内の工作物はなるべく電車側窓に対応する高さを避けて設置することが望ましい.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 永瀬和彦: "阪神大震災-被災と復旧の記録" 鉄道ファン. 37(掲載決定). (1997)
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[Publications] 永瀬和彦・近藤和宏・野村俊明: "阪神大震災における鉄道車両の被災状況" 日本機械学会論文集C編. 63・606. 620-627 (1997)
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[Publications] 永瀬和彦・近藤和宏・野村俊明: "阪神大震災における走行中の列車脱線状況の実態" 機械・土木・電気学会共催鉄道技術シンポジウム講演論文集. No.143. 503-506 (1995)
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[Publications] 永瀬和彦: "地震に対する鉄道の危機管理のあり方" 交通新聞-視点・論点. No.15614. 4 (1996)
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[Publications] 永瀬和彦: "阪神大震災が与えた課題" 鉄道ジャーナル. No.342. 148-149 (1995)
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[Publications] 永瀬和彦: "阪神大震災-鉄道被害を見る(上・下)" 交通新聞. No.15384、15383. 1-2 (1995)