1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08680612
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
藤倉 良 九州大学, 工学部, 助教授 (10274482)
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Keywords | 環境装置 / 公害防止費用 / 運転コスト / 国際協力 / 民間企業 / 環境ビジネス |
Research Abstract |
平成8,9年度の研究成果から,公害防止はエンドオブパイプからクリーナープロダクションに移行しているため,公害防止コストが顕在化しなくなりつつあることが明らかになった。企業会計においても,計上されている公害防止コストはもっぱらエンドオブパイプのコストであり,その年間運転費用が年間売上に占める割合は中小企業では1%前後,大企業では0.1%程度にすぎなかった。クリーナープロダクションにおける公害防止コストは企業も殆ど把握していない(できない)のが現状である。従って,環境政策の異なりが国際競争力に及ぼす影響は,一般的にはかなり軽微であると考えられた。むしろ問題なのは,開発途上国において環境規制の運用が不十分な中で企業が短期的利益に固執して,それを行えば生産性も上昇するような投資を控えていることに問題がある。 したがって,開発途上国の公害対策に求められていることは,現地企業の公害防止に対する投資を促すようなインセンティブを与えることにある。対策を行っても国際競争力には殆ど悪影響がないか,むしろ生産性の向上によるメリットを享受できる可能性がある。さらに一歩進んで,先進国の市民の環境意識が高まる中,開発途上国で環境ビジネスを起すことが環境改善に向けた新たな貢献となるであろう。経団連に加入する企業・団体491社に対して郵送により行ったアンケートの結果を見ると,143通(29.1%)の回答のうち,特に途上国を対象として環境ビジネスが成立するかという間に対して,「十分成立する(6%)」,「ある程度成立する(52.5%)」と,希望を持つ会社が58.6%と約6割を占めている。このような民間企業の国際協力による取り組みを公的資金がどのように支援するかが課題である。
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