1997 Fiscal Year Annual Research Report
薬物誘導による異常タンパク質の小胞体内分解に関与するタンパク質群の解析
Project/Area Number |
08680698
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
徳永 文稔 姫路工業大学, 理学部, 助手 (00212069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小出 武比古 姫路工業大学, 理学部, 教授 (60018695)
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Keywords | 小胞体内分解 / 品質管理機構 / プロテアソーム / 分子シャペロン / γ-カルボキシル化 / プロテインC / ワルファリン / プロトロンビン |
Research Abstract |
我々は、抗血栓薬ワルファリン投与時に生合成されたビタミンK依存性凝固因子は、分泌されず細胞内で分解されることを示したが、これは薬物誘導による小胞体分解の唯一の例である。今回、ビタミンK依存性因子においてワルファリン投与時に速やかに分解されるプロテインCと比較的緩やかに減少するプロトロンビンをモデルに、γ-カルボキシル化と小胞体分解の感受性を調べた。内在的にこれら因子を産生するHepG2細胞では、ワルファリン下でプロテインCはほとんど分泌されず分解を受けたが、プロトロンビンはワルファリン下でも約50%が分泌した。これはプロトロンビンのγ-カルボキシルグルタミン酸ドメイン(Glaドメイン)がプロテインCのそれよりワルファリン抵抗性であることを示唆しているため、プロトロンビンのGlaドメインをプロテインCのものと置換したキメラ(GD||/PC)とプロトロンビンのプレプロ配列からGlaドメインまでをプロテインCのそれと置換したキメラ(PPGD||/PC)を作製し、ワルファリン感受性を調べた。その結果、意外なことに両キメラはビタミンK存在下でも分泌せず細胞内分解を受けた。そこで、これらキメラの細胞内におけるγ-カルボキシル化を調べたところ、ビタミンK下での高分子量移行が見られること、バリウムに吸着することから、γ-カルボキシル化は正常であることが示された。興味深いことに細胞内ビタミンK依存性因子のバリウム吸着にはグルコシダーゼ阻害剤であるカスタノスペルミンの前処理が必要であることが分かり、これはカルネキシン、カルレティキュリンなどカルシウム結合性分子シャペロンとの解離が必須であることを示している。また、ビタミンK下のキメラ体の分解は、プロテアソーム阻害剤で阻止された。以上の結果は、Glaドメインとその周辺領域との相互作用も小胞体分解の要因であることを示している。
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Research Products
(1 results)