1997 Fiscal Year Annual Research Report
脳特異的6B4プロテオグリガンの神経分化促進作用の解析
Project/Area Number |
08680775
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Research Institution | (National Institute for Basic Biology) Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
前田 信明 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助教授 (90202308)
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Keywords | プロテオグリカン / 6B4プロテオグリカン / PTPζ / 神経突起伸展 / プレイオトロフィン |
Research Abstract |
6B4プロテオグリカン(6B4PG)は、受容体型蛋白質チロシンホスファターゼPTPζの細胞外領域に相当する分子であり、両者は選択的スプライシングによって生じ、コンドロイチン硫酸プロテオグリカンとして合成される。前年度までに筆者は、神経突起伸展促進作用を示すヘパリン結合性成長因子pleiotrophin(PTN)が、PTPζ/6B4PGのリガンドであることを明らかにした。本年度は、PTPζ-PTN間相互作用の生理的意義を、大脳皮質神経細胞の分化過程に注目して解析した。PTPζの細胞内領域に対する抗体を用いて、培養大脳皮質神経細胞を免疫組織化学的に染色したところ、PTPζは神経成長円錐に大量に存在することが明らかになった。神経成長円錐は神経突起の先端に存在する構造物であり、神経突起伸展の制御に重要な役割を果たしている。このことから、PTNにより誘導される神経突起伸展において、神経成長円錐上のPTPζがPTN受容体として機能している可能性が考えられる。そこで、大脳皮質神経細胞を用いて、PTN誘導神経突起伸展を詳細に解析し、以下の結果を得た。PTPζの細胞外領域に対する抗体及びコンドロイチン硫酸Cは、PTN誘導神経突起伸展を著明に阻害した。PTPζに結合しているコンドロイチン硫酸は、この受容体のPTN結合部位の一部を構成しており、コンドロイチン硫酸CがPTPζ-PTN間の結合を特異的に阻害することが明らかになっている。また、チロシンホスファターゼ阻害剤Na_3VO_4は、PTNによって誘導される軸索伸展を強く阻害した。これらのことは、PTPζが大脳皮質神経細胞のPTN誘導神経突起伸展において、情報伝達受容体として機能していることを示唆している。
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[Publications] 前田信明: "軸索湯同の制御因子としてのプロテオグリカン" 生体の科学. 48・6. 534-548 (1997)
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[Publications] HAMANAKA Hiroki: "Spatially and temporatly reyulated modification of the receptor-like protein tyronine phosphatse ζ/β isforms with kerutan sulfate in the developing chick brain." European Journal of Neuroscience. 9. 2297-2308 (1997)
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[Publications] Shintani Takafumi: "Characterization of rat receptor-like protein tyrosine phosphatase γ isoforms." Biochemical and Biophysical Research Communication. 230. 419-425 (1997)