1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08680793
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山本 雅道 岡山大学, 理学部, 教授 (50011565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 浩子 岡山大学, 理学部, 助教授 (50090478)
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Keywords | 扁形動物 / 無腸目 / 進化 / 分子系統 / リボソームRNA / 採卵法 / 初期発生 / 渦虫綱 |
Research Abstract |
無腸類の進化を考えるための基礎として、その系統的位置を知るために、扁形動物渦虫類の各目の系統的関係を18SリボソームDNA(18S rDNA)の塩基配列に基づく解析により推定した。渦虫類の系統関係に関しては、近年興った分岐分類学が、カテヌラ目を最も原始的なグループと考える点で、無腸目を最も原始的なグループとみる伝統的分類学と対立している。無腸目、カテヌラ目、多食目、卵黄皮目、順列目、棒腸目、全腔目、三岐腸目、多岐腸目の9回より17種を選び、ゲノムDNAより18S rDNAに特異的なプライマーを用いてほぼ全長にあたる約2000塩基対のDNA断片をPCR法で増幅し、ジデオキシ法により塩基配列を決定した。そのデータにDNAデータバンクから引用した菌類、原生生物、二胚葉性動物(海綿、刺胞、有櫛動物)、条虫類、吸虫類の配列を合わせて、近隣結合法、最節約法、最尤法により系統樹を作成し、それを従来の形態に基づく系統樹と比較した。結果は、渦虫類のなかで最も早期に分岐したグループは無腸目であるという点で伝統的分類学と一致し、分岐分類学の考えを指示しなかった。渦虫類の塩基配列を多くの多細胞生物の18S rDNA塩基配列と併せて系統樹を作成した場合も、無腸目は必ず三胚葉性動物の中で最も早く分岐していた。無腸目は三胚葉性動物の起源近くに位置する動物である可能性が強く示唆する結果が得られたので、それを胚発生の解析から追究ことへと研究を進めた。従来ほとんど行われていない無腸類の発生学的研究を開始する基礎として、瀬戸内海で容易に得られるConvoluta naikaiensisを研究材料に選び、その採卵法を確立した。ついで初期発生の過程を詳細に記載中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] T.Okada: "Secretory function of the test cell in larval tunic formation in the ascidian Ciona intestinais." Zoological Science. 13. 253-261 (1996)
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[Publications] T.Katayama: "Phylogenetic relationships of the bellarian orders inferred from 18S rDNA seguences" Zoological Science. 13. 747-756 (1996)
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[Publications] 石原勝敏(編): "動物発生段階図譜" 共立出版, 348 (1996)