1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08680793
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山本 雅道 岡山大学, 理学部, 教授 (50011565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 浩子 岡山大学, 理学部, 助教授 (50090478)
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Keywords | 扁形動物 / 無腸目 / ミトコンドリア / 遺伝暗号 / 筋肉 / 表皮 |
Research Abstract |
1. 先年度までに18SリボソームRNA遺伝子を用いた分子系統学的解析により、無腸目は三胚葉性動物の起源近くに位置する動物である可能性を示唆する結果を得ているが、これを確認する目的で、扁形動物渦虫綱各目の間でミトコンドリアチトクロームCオキシダーゼI (CO1)遺伝子の比較を試み、先の結論を支持する結果を得た。この解析の過程で、以下に述べるように、無腸目のミトコンドリア遺伝子暗号は扁形動物のそれと異なっていると言う結果を得た。ミトコンドリアの遺伝子暗号のいくつかに核のそれとは異なるものの存在が知られている。動物の核ゲノムでは、AAA,ATAは各々アスパラギン酸、イソロイシンを指定しているが、殆どの動物のミトコンドリアではリジン、メチオニンを指定している。ところが扁形動物と棘皮動物ミトコンドリアでは、AAA,ATAは例外的にアスパラギン酸、イソロイシンを指定しているとされている。今回、まだ調べられていない扁形動物渦虫綱の7目7種についてミトコンドリアコドンを解析したところ、無腸目をのぞいく6目では従来の結果どおりであったが、無腸目だけは、扁形動物以外の多くの動物と等しくAAA,ATAは各々リジン、メチオニンを指定していた。この事実は、無腸目は他の扁形動物が特殊化する以前の段階で分岐していたことを示唆しており、無腸目の原始性を明確に示す結果と言える。 2. 無腸目は体表上皮細胞とその下の筋肉組織を隔てる基底膜構造が全く存在せず、表皮と筋肉が複合構造を形成しているという点でもユニークである。このような構造の形成過程を透過型電子顕微鏡で追跡し、発生過程においても基底膜構造が出現する時期は全くないという結論を得た。この事実は、無腸目の筋肉表皮複合構造が退化の結果生じたものではないということを示唆している。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M.Yamamoto: "Origin of the gonad in the juuenile of a folitary ascidian,Ciona intestinalis" Develop.Growth Ditler.41・1(印刷中). (1999)
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[Publications] Y.Miyako-Shimazaki: "Localization of a visual Gf protein in the photoreceptors of a polychaet,Perinereis brevicirris" Cell Tissne Res.印刷中. (1999)