1996 Fiscal Year Annual Research Report
日本における公的資金の政治的配分プロセス:租税支出の体系的資料作成と分析
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08720062
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
マルガリ-タ エステベス 慶應義塾大学, 総合政策学部, 助手 (20265945)
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Keywords | 租税 / 政策税制 / 日本の政治 |
Research Abstract |
当該研究は1970年代から1987年迄の税制改正の変遷を探ることで、日本の国家的リソースの配分の在り方・政治的背景を明らかにすることを目的とした。税の種類/税の減免の対象ごとにデータを収集・分類・集計した。同時期の傾向としては、以前目立った大企業むけの項目が減少し、特に1970年代後半から中小事業者と個人むけの所得税減税が割合として増加する。特に自民党への税制改正要望団体数が急増した1977年以降に関しては新規の項目が大幅に減少した。既存の税減免項目の延長・廃止をめぐる攻防に中心がシフトしていったことがわかる。税の減免措置の見直しの流れの中で、住宅、医療福祉関連、中小事業者むけの項目が残存あるいは新規に追加された点は財政投融資の傾向とも類似するが、具体的な対象団体は異なっている。補助金との関連では、佐藤/松崎説(1986)が示唆するような財政危機にともなう補助金から税の減免への諸団体の関心のシフトは裏付けが得られない。むしろ、既得権化した減免措置の整理合理化への抵抗の構図が浮かび上がる。また、延長措置を受ける項目の多さは、K.Calderいうとろの政治的危機が去った後の1980年代半ば以降にはcompensationとしての分配的政策が低下したのでは必ずしもないことを示唆している。
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