1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08750200
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
島田 昌也 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (70262946)
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Keywords | 逆圧力勾配乱流境界層 / 強制対流 / 乱流構造 / 多点同時測定 / スケーリング則 / 大規模構造 / テーラーマイクロ時間スケール |
Research Abstract |
逆圧力勾配乱流境界層を支配する準秩序構造を実験的に解明するために,5組のX線型熱線で構成される多点同時計測システムを開発した.また,圧力勾配の影響を定量的に調べるために,零圧力勾配乱流境界層との比較を行った.その結果,逆圧力勾配乱流境界層における特徴として,以下に示す事実が明らかになった. 1.変動速度波形に対する圧力勾配の影響を調べた結果,逆圧力勾配乱流境界層の変動が緩慢になることが観察された.特に壁近傍でそれが顕著であり,逆圧力勾配の影響が,乱れの時間スケールの増大という形で主に内層に現れることを示している.一方,境界層中心部から外縁部にかけては圧力勾配の影響は殆ど見られない. 2.圧力勾配の影響を強く受ける壁近傍の変動速度波形は、テーラーマイクロ時間スケールを用いて正規化することにより、波形の緩慢さが見られなくなる.更に,乱流現象を支配する特性時間スケールの一つであるバースト周期を同マイクロスケールで正規化した結果,壁からの距離及び圧力勾配の有無に依らずよく整理されることも分かった.つまり,逆圧力勾配下では,乱流構造の特性はテーラーマイクロ時間スケールとバースト周期の2つの異なる時間スケールにより表現される複合的な構造に起因すると考えられる. 3.逆圧力勾配乱流境界層の特性の全てが,波形の時間的な伸縮のみで説明できるわけではない.このことは,時間の情報を含まないレイノルズ応力の寄与率や構造パラメータの分布から,壁近傍において,乱流構造そのものが圧力勾配の影響を強く受けることから確認された.つまり,逆圧力勾配乱流境界層の乱流構造には時間スケールの伸縮のみで説明できない相違があることを示している.
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Research Products
(1 results)