1996 Fiscal Year Annual Research Report
蒸気発生器伝熱管内の凝縮を伴う二相流動に関する研究
Project/Area Number |
08750219
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
片山 二郎 室蘭工業大学, 工学部, 助手 (10241407)
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Keywords | 二相流 / 凝縮熱伝達 / ボイド率 / 蒸気 |
Research Abstract |
原子炉の冷却材喪失事故時に生じる蒸気発生器伝熱管内での蒸気の凝縮を模擬した実験を行い、入口プレナム内圧力変動・管軸方向冷却材温度変化を測定した。この結果、以下の知見を得た。 1.蒸気供給量が少なく、伝熱管内ですべての蒸気が凝縮する条件では、フラディング発生まで入口プレナム圧力は低く一定に保たれ、フラディング発生後蒸気供給量の増加と共に緩やかに増加した。断熱系で行った実験と比較すると、断熱系の場合に見られた不連続な圧力上昇は見られず、冷却材温度分布からも、凝縮により管軸方向に気相流量が低下し、フラディング発生後も気液混合領域(蒸気の到達領域)が管内全域には広がっていない事がうかがえる。また、入口プレナム圧力は、凝縮水が管上端から排出されはじめるまで上昇し、断熱系の場合のおおむね10倍程度の10kPaに達した。 2.蒸気供給量を増加させ、管内全域で凝縮が生じる条件では、入口プレナム圧力の周期的な変動が見られ、蒸気流量の増加とともに周期・振幅・最大圧力とも減少した。圧力の周期的な変動を招く要因として、管内を上向きに流れる蒸気により管内に保持される凝縮水の、凝縮熱伝達に及ぼす影響が挙げられ、本研究により蒸気と凝縮水が混合して存在する場合の、熱伝達率とボイド率の関係が定量的に明らかになった。また、このときの冷却材温度分布から管軸方向ボイド率分布を求めると、蒸気供給量及び冷却材流量により管内に凝縮水が偏在することを見出した。 3.管内の凝縮水の偏在、周期的変動を調べるためには、今後更に測定点を増やし(現行では軸方向5点)、さらに精度の高い評価を行うとともに、管内に存在する非凝縮性ガスである空気(原子炉での燃料棒からのFPに相当)による影響を調べていく予定である。
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