1996 Fiscal Year Annual Research Report
HCFC-22の代賛物質R-410Bの飽和蒸気圧およびPVT性質に関する研究
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08750245
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
矢田 直之 神奈川工科大学, 工学部・機械工学科, 講師 (20212277)
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Keywords | 代賛冷媒 / 代賛フロン / R-410B / 飽和蒸気圧 / 等容法 / HFC-32 |
Research Abstract |
近い将来廃止が決定しているHCFC-22の代賛冷媒の1つの候補としてR-410Bが注目されている。本研究では、その基本的な熱力学性質の1つである飽和蒸気圧およびPVT性質を測定するために、等容法を用いた新たな装置を製作した。 本研究で製作した実験装置は、試料容器内容積が約78cm^3のSUS304ステンレス鋼製で、高さ方向の重力の影響による圧力差を抑えるために円筒をクロスに組み合わせた形状とした。本実験装置の測定可能な範囲は、代賛冷媒を実用化する上で必要不可欠な熱力学性質が測定可能なように、温度253〜353K,圧力0〜5.2MPaの領域である。 本研究では作製した実験装置の再現性および信頼性の確認のために、R-410Bの成分物質の一つであるHFC-32の飽和蒸気圧の測定を行った。本研究で得られたHFC-32の飽和蒸気圧に関する実測値は、温度範囲262〜320K、圧力範囲0.5〜2.9MPaの領域において26点である。得られた実測値を従来報告されている他の研究者の実測値および飽和蒸気圧相関式と比較を行い、圧力測定精度以内で他者の実測値および相関式と一致することが確認できた。 また、得られた実測値および他の研究者の実測値を基礎データとして、温度210Kから臨界温度までの任意の温度における飽和蒸気圧を算出可能な飽和蒸気圧相関式を作成した。本研究で作成したHFC-32の飽和蒸気圧相関式は、上述の温度範囲において基礎データとした実測値を圧力偏差【.+-。】3kPa以内で再現可能であり、今後HFC-32とHFC-125の混合冷媒であるR-410Bの実測値の解析および熱力学性質の推算に十分使用可能な相関式である。 本年度は、圧力センサの故障等で十分な実測値が蓄積できなかったため、引き続きR-410Bを含めたR-410系混合冷媒の飽和蒸気圧およびPVT性質の測定を、本研究で製作した実験装置を用いて実施していく予定である。
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