1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08750254
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Research Institution | Akashi National College of Technology |
Principal Investigator |
國峰 寛司 明石工業高等専門学校, 機械工学科, 助教授 (50186425)
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Keywords | 過冷却 / 凝固 / デンドライト結晶 / ミクロ伝熱論 |
Research Abstract |
非一様な過冷却場における結晶群の自由成長を対象として,サクシノニトリル-アセトン有機混合物を試料としたシミュレーション実験を行い,過冷却凝固の素過程,特に結晶の自由成長の挙動を追究するとともに,実験的に得られた知見をもとに結晶群の自由成長モデルを提示し,過冷却場での凝固のミクロな挙動を解析的に追究した結果,以下の知見を得た. 1.凝固の微視的な構造のビデオ観察と温度場の詳細な測定とにより,結晶の自由成長は分布の局所性を含め過冷却の大きさと融液濃度に依存することが明らかとなった.また,非一様場においても成長の速度は,一様場における結晶単体での成長理論が適用できることが示された. 2.過冷却場で結晶が自由成長する過程は,ほぼ瞬時に形成される一次アーム,次いで結晶間の組成的過冷を要因とする二次さらには高次アームからなる自由デンドライトの成長により,過冷却場が解消される過程として位置づけられる.即ち,ここでの凝固は過冷却を推進力とするとともに不安定場の安定化をもたらすものであり、融点を間隙部に捕獲したデンドライト結晶の形態はその結果として捉えられることが示された. 3.実験的に得られた知見をもとに,非一様な場での複数の結晶成長,ならびに結晶成長により中断された伝熱場が準定常伝熱場に回復するための待ち過程に対して,ミクロな組織とマクロな伝熱を連成した凝固モデルが提示された. 4.壁面近傍の一部が非一様に過冷却された融液の一次元凝固を対象に,提示された凝固モデルによる理論解析を行った結果と実験との比較によりモデルの妥当性が示されるとともに,過冷却を伴う凝固伝熱の新しい取り扱いが示された.
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