1996 Fiscal Year Annual Research Report
斜面住宅地における高齢者の近隣ネットワークとサービス補完形態に関する研究
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08750728
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
志賀 勉 九州大学, 工学部, 助手 (00206070)
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Keywords | モビリティ能力 / サービス・アクセシビリティ / 近隣ネットワーク / 斜面住宅地 / 高齢者居住 |
Research Abstract |
1.本研究は,斜面住宅地における近隣ネットワークによる高齢者のサポートの実態を捉え,そのサービス補完形態について考察したものである。このために北九州市丸山地区を対象として,地域に福祉サービスを提供している行政,民生委員,民間ボランティア団体への調査を行い,サービスの内容と利用実態などを把握した。 2.この結果,行政による福祉サービスはメニューが充実しつつあるものの,サービスの提供形態は広域的かつ一律的であり,斜面住宅地の立地条件に十分に対応できておらず,これを地域の民生委員や民間ボランティア団体のフレキシブルな活動が補っていることがわかった。 3.中でも,移動支援サービスを行う民間ボランティア団体「北九州義農の会」の調査結果から,斜面住宅地での移動支援サービスにおいては,住宅から車輛までの間の移動について利用者のモビリティ能力と住宅の立地条件に対応した介助を行うことが重要であることが理解できた。 4.また,民生委員の活動の調査結果から,高齢者の健康状態や住宅状況などの地域情報を熟知した民生委員が各種福祉サービス利用や住宅の住替えを高齢者の実情に応じて仲介・斡旋する活動を行っており,斜面住宅地へのサービス・アクセシビリティの低下を補う近隣ネットワークが形成されていることがわかった。
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